約 1,869,335 件
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4609.html
1-181 1-696 1-796異世界協奏曲 1-90小ネタ… 2-131ルイズ×サイト 3-152魔法戦隊メイガスファイブ 3-33時を駆ける少女 4-115 4-126 4-146 4-229ゼロの三国志 4-501 4-755『シエスタ&才人の小旅行』プロット(*1)5-400サイトがんばる! 5-540 6-75マリコルヌの野望 6-135今宵は無礼講 6-218マリコルヌの野望 炎の師弟愛編 6-327タバサネタバレもの 6-552『魔法戦隊メイガスファイブ』ダイジェスト 6-630ルイズのハロウィン 8-303アメリカンジョーク風ゼロの使い魔 8-343アメリカンジョーク風ゼロの使い魔 8-425アメジョ風に便乗 8-618バカップルイズ〜そして彼女はやさぐれる〜 予告編 9-286惚れ薬編if 9-326ダメ、絶対。 9-549アニエスの囚われ人 9-560ビダーシャルの趣味 9-600シルフィもサイトと遊びたい! 10-117ルイズの秘密 11-122 10-340その後 11-192ルイズの変装 11-386ある日の出来事 11-429つうこんのいちげき 11-494サイトとバレンタイン 12-88ある吟遊詩人の手記 12-117知的好奇心 12-153女王アンリエッタの優雅な一日 12-365青銅と香水と聖女の日 12-508 13-82マリコルヌの休日 13-202俺のパンツを履いてくれ 14-344フラグクラッシャーズ? 14-478一筆啓上 14-676 14-725黄金の日々 15-683竜の血 15-756タイムトラボー 17-498ジェシカとでぇと A2-338『ゼロの使い魔』 第2期 序章 X01-02『トリステイン戦隊ゼロファイブ!』(*2)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1508.html
何とかタバサにレビテーションをかけてもらって、紐無しバンジーを避けられた康一。 「ゼァハァー、ほ……本気で落ちるかと思った…… タバサさん、助かりました…」 コクン、と頷くタバサ。しかしシルフィードに加速の指示をしたのもタバサ。 結果として助けてくれたわけだが、いいとこ取りした格好になる。 そんなことを全く無視してタバサは言った。 「さっき小屋の床を打ち抜いた「力」で、這い上がってこれなかったの?」 「そういえばそうだな。アレはほんの一瞬だったから、見間違いかもしれんが床に拳跡があった。 一瞬で床をブチ抜くほどの「見えない力」があれば大丈夫なんじゃあなかったのか?」 タバサの疑問でアニエスもそれに気付いた。 力、見えない力、というのは当然スタンドのことだ。 「お前の力に関して、姫様は何も教えては下さらなかった。一体どういう力だ? 魔法かとも思ったが、ミス・タバサが分からないなら魔法ではないようだし。 別に秘密にしておきたいなら、とくに聞き出そうとは思わんのだが」 アニエスはそう言い、タバサも同意の証として小さく頷く。 康一は首をかしげ、ウーンと唸って考える。 (アンリエッタさんは、出来るだけ内緒にしておけと言ったけど…… それは貴族の中に悪いヤツがいるからだし。それに一緒に戦う仲間に自分の能力のことを教えないのはなぁ…… アニエスさんもタバサさんも悪いヤツなわけないし、信頼できる人達みたいだ。 だったら言っちゃってもいいかな) 考えた末に康一はウンウンと頷いて、自分の心に従い話し始める。 「時間も無いから簡単に説明しますけど、僕には3つ能力があるんです。 いま音を聞くのに使ってる能力は1つ目。さっき小屋の床をブチ抜いた能力が3つ目。 1つ目の能力は音を操る能力で、音を聞く力はその能力のおかげです。 この能力は射程距離が長いんですけど、その分パワーやスピードはない。 だから僕の体を持ち上げる力はありません」 「逆に3番目は射程距離が短くて、大体5メイル(メートルだけど)その分パワーとスピードに優れてる。 能力はどんなものも一つ、一箇所だけ「重く」すること。 たとえどんな強力なパワーを使っても、重くなったら絶対に動くことなんか出来ないほどに。 そしてこの能力で飛んでくる氷の弾丸を叩き落としたり、床をブチ抜くことが出来た。 ここまではいいですか?」 ふむ、とアニエスは眉を少しだけ寄せて康一の説明を理解する。 「つまりその力のない能力だから、お前はいま落ちそうになっても体を持ち上げることができなかった、と。 それでは何故その3つ目の力を使わなかった?それなら問題ないだろう」 新たな疑問が生まれ、それを問うアニエス。 「それは僕の3つの能力が同時に使えないからです。 いま僕は1つ目の能力を発現してました。だから別の能力は使えなかった。 これがさっきのことの答えです」 「それは……私たちに言ってもいいの……?自分の能力の弱点を教えても」 静かな声でタバサが聞いた。 「……二人とも人に言いふらすようなことはしないって、信じられますから」 タバサは無表情、アニエスは更に眉をしかめて康一を睨みつける。 「そんな信用されることをした覚えはないがな」 (だからって、睨まれるようなことした覚えもないんですけど……) 鋭い目つきで睨むアニエス、その視線を受け止める康一。 「ふんっ。わたしが言いふらすかどうかは…………お前のこれからの心掛けと行動次第、だな。 わたしを信用させている内なら文句はない。それ以外は、どうなっても知らんぞ」 「上等ーッです!」 不敵に笑って答える康一、同じくアニエスも不敵に笑った。 「上等」 康一と同じことを言うタバサに不敵な笑みはなく、何時もと変わらぬ無表情。 ただしほんのチョットだけ声が楽しそうなのを除けば。 「それで、逃げている奴らはいま何処にいる」 ひと段落したところでアニエスが聞く。 「もう結構近いです。およそ前方100メイルぐらいで足音が途切れました。 そこで多分立ち止まってるんだと思います。 そこは結構開けてる場所みたいですから視認できるかも」 確かに康一の言うとおり、前方の森が一直線に道のように開けている。 シルフィードが旋回し、全員で地上を見下ろす。 地表にはゴロゴロと丸い石が転がっており、所々に水溜りが見えた。 あきらかに森の地面ではない。 「どうやらここは川らしいな。だがいまは水がなくて干上がり河原になっているが」 「でもこれだけ見通しのいい場所で立ち止まってるってことは…」 康一が呟く。 「誘っている」 タバサの答えにアニエスと康一が頷いた。 「とりあえず僕が地上に降りて様子を見ましょうか? 場所が分かれば1つ目の能力を使わないでいいんで、一人で飛び降りても平気ですし」 しかしタバサが首を振った。 「魔法の罠があるかどうかは、メイジの私でないと分からない。私も行く」 「確かにそうだ。それにわたしは真正面からメイジと戦り合うのは向いてない。 わたしは大人しく、空から援護に回るさ」 アニエスも同意し、自分の役割を決めた。 「じゃあ、それでいきましょうッ。飛びますよ!」 タバサと康一、二人で呼吸をはかって同時にシルフィードの背から飛び降りる。 ビュウゥ、と康一とタバサが風を切って落ちてゆく。 タバサは小さく口を開きレビテーションを自身にかけた。 康一はACT3のパワーで自身を持ち上げ勢いを殺す。 着地地点は河原から少し離れた森の中だ。 上手く着地した二人は、素早く辺りを見回し注意を払う。 警戒しながら康一はタバサに聞く。 「何かありましたか?」 ディティクトマジックを使って、周囲を調べ終わったタバサが答えた。 「魔法の力は何もないし、感じない」 探査は康一もACT1で行っているが、怪しそうなものは何もなかった。 「とりあえず問題ないようなら、奴らの所に行ってみましょうか」 「そうする」 同意したタバサ、二人は警戒を続けながら注意深く河原へと出た。 河原は水で削られ丸まった石が転がっていて足場が悪い。 さらにかなり大きな水溜りもあり、石も殆んど濡れたままの状態でヘタするとスッ転んでしまうだろう。 攻撃の回避などで、走ったり飛び跳ねたりするのは容易ではなさそうだ。 「この先から足音はありません。魔法で飛んで逃げでもしない限り、必ずいる筈です」 康一はすでにACT3を発現させ、タバサも杖を構えて戦闘態勢に入っている。 何があっても即座に行動できるよう、神経を研ぎ澄まして先を目指す。 そして目的の者は一人ぼっちで河原の真ん中で立っていた。 たった一人、もう一人は何処にいるのだろうか。 目の前の男は囮なのか、何処かに隠れて隙をうかがっているのか。 ただ一人の男はフードを目深に被り、顔を見ることは出来ない。 何を語るわけでもなく、無言を貫く。 この態度では何かがあるのだろうと考えるのが普通だろう。 そして、ソレはこれからすぐに分かる。 「いまならまだ大人しくボコボコにされるだけで済むんですけど、どうします?」 暗に最低でもボコボコにすると言っている康一。 そんな康一の問いに対する男の返答は、杖をもって返された。 地面に広がる水溜りが軋みをあげた。水が凍る際に出す、独特の凝結音。 そして水が氷に一瞬で変わり、地面から氷の槍が突き上げられるッ! 「ACT3!」 康一は飛びのきながらACT3で自分に命中する分だけ拳で砕く。 タバサは魔法の気配を康一より速く察知していたので、その身軽な体を跳ねさせるだけで回避した。 そして反撃の魔法を唱える。魔法はエア・ハンマー。 速攻の反撃を受け、男は魔法で防御するためウォーター・シールドを唱えた。 瞬間、河原に溜まっていた水が揺れて、男の目の前で壁を成す。 タバサのエア・ハンマーは大きく質量をもつ水に弾かれ、大気に戻った。 (二回とも水の魔法を使ってる。コイツ水系統のメイジかッ!) 康一の考えどおりなら、この場所は敵にとって有利に働く。 川の水は干上がってはいるが、まだまだ残っている。 その水があれば強力な水の魔法が素早く使え、かなり厄介だ。 タバサの二つ名は「雪風」だが、本来は風の系統。 氷を使うといっても、戦い慣れた本職である水のメイジとの水の力比べでは分が悪い。 それはタバサ自身が一番理解していることだろう。 康一は相手に突っ込もうと不安定な足場で走るが、男が軽く杖を振るとまた氷の槍が地面から生えた。 「くうッ!」 杖を持たない康一だが、どうやったのか自分の氷を砕かれ警戒しているのだ。 故に康一は男に射程距離まで近づくことができない。 射程距離の長いACT2で攻撃しようとも考えたが、自分からスタンドを離すのはこの状況では危険だ。 よってACT3で攻撃するしかないわけだが、結局上手く近づけずに防御するしかやれることがない。 多分ここで待ち構えていたのも地の利を生かすためなのだろう。 それが何倍にも敵の力を増している。 魔法戦に慣れたタバサは多少回避して攻撃を仕掛けているが、あまり有効な攻撃は繰り出すことが出来ない。 手数で押すタイプのタバサは、自分以上か同程度のスピードで攻撃されるのが苦手だ。 攻撃力は一つ一つは小さめなので、その攻撃力を上回る攻撃をされると自然、防御に手を回さざるを得ない。 それゆえに持ち味の手数が減り、総合的な攻撃力が減少している。 結果相手に押され、攻めたてらることとなっている。 「どうしますか、タバサさん?」 「……防御をお願い」 「分かりましたッ!!」 タバサは跳躍し、河原の水が溜まっていない場所で詠唱を開始する。 康一はタバサの周りでACT3を構え、地面に転がる石を掴んで投擲。 ACT3のパワーで投擲された石ころは、恐ろしいスピードで飛んでいき、男の周りに張られた水の壁を叩く。 「むうぅ!」 別に敵を倒さなくてもいい。 タバサが詠唱を終えるまで暫くの間、守り抜けばいいだけなのだから。 防御に力を入れさせることで、攻撃を手薄にさせる。 残った攻撃はACT3の拳で楽に防ぐことが出来るから。 その間にもタバサが詠唱を続ける。長めの詠唱。 つまり強力な魔法を使うということだ。いまタバサが詠唱する魔法の名はエア・ストーム。 風のトライアングルスペルで竜巻を起こすタバサの切札の一つだ。 水が敵の力を増している要因ならそれごと吹き飛ばす。 この劣勢を変えるには、それしか方法が無い。 この魔法を唱えたら精神力はかなり減り、このクラスの魔法は使用不可になる。 外すことは出来ない。タバサは更に精神力を高める。 しかし敵の男は突然予想外の行動に出る。 杖を右手で掲げて、左手から何かを空へと投げたのだ。 康一の目が宙に投げられたものに向かう。 暗くて良く分からないが、何か丸い玉のようなものであった。 それに向かって男は杖で何かの魔法をかける。 すると宙に舞う玉が、突如夏の花火のように光り輝いたッ! タバサは宙に輝く光に目が眩み、詠唱を中断してしまう。 そして男は自分にフライの魔法をかけて、素早く空に飛んだ。 「一体何をやってるんだアイツはッ」 宙に舞う敵を見て康一は言う。 するとハッとしたように河原の端、水で抉られた川岸の土を見る。 発光で見えた川岸の土は乾いてはいなかった。 水位の跡がくっきりと水で濡れて見えていたッ!! 「何で……?干上がってるなら、水位の跡がまだ濡れてることなんてありえないハズだ」 続いて地面を見る康一。 「そういえば、この周りは水が無いのに、河原の石は濡れてる。 これってもしかして…ついさっきまで水があったってことなの……………か? だと、したら。もしかしてッ!!」 何かに気が付いたように顔をゆがめる。 そして危機を告げる声が響いた。 「きゅいーーーーーーーーーーッッ!!!(鉄砲水よーーーーーーーーーーッッ!!!)」 上空のから聞こえた声。シルフィードが発した悲鳴だった。 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ そして川上、康一たちの前方から轟音が響いてきた。 「鉄砲水だってッ!」 前方から丸ごとの大木や石を飲み込みながら、大水が康一たちに迫り来る。 康一は悟った、全ては敵の思い通りだったのだと。 いなかったもう一方のメイジががこの鉄砲水を作り出すための細工をしていたのだろう。 そしてあの光は鉄砲水で自分達を飲み込むための合図だったのだ。 そして敵は一人先に魔法で空を飛び、自分は大水に飲み込まれぬように逃げた。 鉄砲水は時速百数十キロのスピードで迫り来る。 幾らスタンド能力や魔法があるとしても、この災害である水を防ぐことはできない。 そしてこのタイミングでは川岸に上がって避けることはできないし、 魔法で飛ぶにしても間に合わず、大水に飲み込まれてしまう。 シルフィードが自分達を救出するのも恐らく間に合わないだろう。 「うおおおおおおぉぉぉォォォオオオオオオオッッ!!」 康一はあと数秒で自分達を飲み込むであろう鉄砲水からどう逃げるかを考える。 このまま後ろ斜めに走って逃げるか。 いやそんなことは無駄な足掻きだ。数瞬飲み込まれるのが早いか遅いかだけだ。 さすがに康一は、ここまでか……、と思った。 だが彼女は違った。一歩、前へと踏み込む。 「……え、タバサ、さん?」 「あなたが教えてくれた」 康一からは、その小さな背中しか見えない。しかし確かに康一には見えた。 タバサの瞳にある輝きが。 自信を込めて、魂を込めて、ゆっくり紡ぐようにタバサは語る。 「道は「創る」ものだと……!!」 ビュンッ、と杖を振るうタバサ。 自身に残されたほぼ全ての精神力を注ぎ込み魔法を発動する。 「ス、スゴイ冷気だッ、メチャクチャ寒いッ!まるで-20℃の冷凍庫の中に入れられたみたいだぞッ!!」 一瞬で生まれた凍気に周囲の水溜りがまず凍る。 そして迫り来る大水さえも前方10メイルほどで止まってしまった。 「で、でもあんな大量の水ッ、全部を魔法で凍らせられるんですかッ!? 多分氷の中は凍らずに水のままですよッ!水は氷をブチ破ってきますッ!!」 確かにその通りだった。タバサが残された精神力のほぼ全てを使って大水を凍らせたとしても、凍らせられるのは表面のみだ。 後数秒もすれば、水は氷を突き破って康一たちを飲み込むだろう。 「なら、突き破ってくれば………いい」 「え?」 「どうせ突き破られるなら最初から、突き破られるように凍らせればいい」 ピシリ、と氷にヒビが入る音がした。 「最初から全てを凍らせられるとは思っていない。 なら一箇所でいい。最適な場所を脆くして最初に突き破られるのを制御すれば……」 「そ、それでもッ、最初にソコが破られたとしても、その数秒後には他の所も突き破られちまうッッ!!」 叫ぶ康一を尻目にタバサは落ち着いて言った。 「私一人では確かに無理。でもあなたの力があれば…… あなたの「重く」する能力があれば、道を作ることが出来る」 康一が目を見開く。一体何を重くするというのだ。 何を重くすれば道を創ることが出来るというのかッ! 「道を駆け上がることが出来るッ」 ビシリッ、と音を立てて氷が割れた。氷で作られた堤防が決壊する。 ドバァッ!と水が溢れ出し破れた場所から流れ出す。 水も土砂も石も、そして大木も。 大木は寺の鐘突きの丸太のように、康一たちに向かって一直線に吹き飛ばされてくる。 「そうか……分かったッ。タバサさん、あなたの力で確かに道を創ることがッ、できますッ!!」 『グレートデス。確カニ道ガ、道ガ見エマシタ』 「いくぞッ、ACT3ッッ!!」 『コノ思イ、無駄ニハ出来マセンネ。S・H・I・T』 ビシィッッ!! ACT3独特の拳法のようなポーズ。それは能力を使用するときの前触れだ。 『ACT3・FREEZE!!!』 ドドドドォッ!! 叩き込まれる3・FREEZE。そして康一とタバサは鉄砲水に向かって同時に駆ける。 「このタバサさんが示してくれた道は、他のヤツじゃあ見えない道ッ! 僕だからこの道の意味が分かる。この空へと駆け上がるための道はッ!!」 ACT3の能力が叩き込まれた場所は、康一とタバサに向かって突撃してくる大木の「根っ子」だ。 「ACT3ッ、パワー最大で重くしろーーーーッッ!!」 『YES,MASTER!!』 残りのスタンドパワー全てをつぎ込むように流れ来る大木の根を重くする康一。 この激流の中で突然重くなった木の根っ子。 つまりこの木の根っ子「だけ」は重くなり他の部位は何時も通りなのだ。 木の根は川底にめり込み、あたかも植樹するかのように大水の激流が木自体を「持ち上げて」くれるッ! タバサが大水を凍らせたのはこのためだ。 どの木も流れに対して横になり回転しながら流されてくる。 だが自分達が飲み込まれる寸前で大水を凍らせ、その氷を堤を破るように一気に水が流れれば、 流れてくる木は破れた場所から、自分達に対して真っ直ぐに突っ込んでくることになる。 そうすれば射程距離の短い康一の能力でも、木の根っ子だけを重くすることができるからッ! ググウゥッ 傾斜のキツイ滑り台ほどの角度がさらにキツクなる そしていま自然のエネルギーで一本の木が川のど真ん中に植えられた。 「タバサさん飛びますよッ!」 「え?」 康一はタバサの手を掴んで自分に引き寄せ、抱えるように一気に跳躍。 ACT3のパワーで自分を跳ばして、植えられたばかりの木に飛び移る康一。 「上のヤツは任せます、タバサさんッ!!」 「……あ、うん」 一瞬呆けたような顔をしたタバサ。気を引き締めるように、顔つきが少しだけ険しくなる。 跳躍した先から更にACT3の力を解放。タバサを木の最上部へと投げ飛ばす。 濡れた木の葉がタバサの体に触れて、何故か熱く火照った体温を奪う。 タバサは目を瞑りながら、その感覚が少し心地良いと感じ、もっと長く味わいたいと思った。 だがそれも束の間、あっという間に木の葉の群れを掻き分けて最上部さえも飛び越えた。 目を開くタバサ。スデに攻撃の準備は整っている。 フライで宙を飛ぶ、フードを被った敵をその瞳で捉える。 相手の表情はいま一つ見えないが、影から覗かせた目には間違いなく驚愕があった。 フライの魔法を使用中は、他の魔法を行使できない。 つまりいま宙を飛ぶ敵は、ただのいい的となっていると言うことだ。 小声で詠唱を済ませておいた。魔法はエア・カッター。 風の刃を作って放つ魔法だ。 タバサは自分に残された精神力を、瓶底に僅かに残ったジャムをスプーンで掻き集めるようにして、魔力へと練り上げる。 タバサが身の丈に合わぬ杖を振るった。 瞬間生まれる風の刃。体中から掻き集めた精神力全てを使っても、小さな風の刃一つ形作るのが精一杯。 だがそれで十分だった。 「ドオオォォバァァアアッ!」 スピードの乗った風の刃は、敵の体に確かに命中。 その勢いを持続させたまま、敵の男は川岸まで吹き飛びそのまま気絶。 タバサは魔法を放ち終えた後、素早く手近な木の枝を掴んで着地する。 しかしそれが終わるが早いか、ガグンッと川に生えた木が揺れた。 「わぉおおッ!」 慌ててしっかりと木を抱えるように掴んで体勢を整える二人。 康一とタバサには見えないが、大水の中でを流れる石などが木を直撃してこれほど大きく揺らしたのだった。 幾ら康一の能力で木の根を重くして木が鉄砲水の流れに耐えたとしても、 その水を流れてくるものがブツかり続ければ、木自体が破壊されてしまうだろう。 「この感じだと時間がありませんね」 「でも大丈夫」 「ええ、大丈夫ですねー」 頼りになる仲間の存在。空を自在に駆ける仲間が康一たちにはいる。 だから心配などありはしない。 シュバン、と風を切って飛来したシルフィード。 康一を口に銜え、タバサを背中に乗せて空へと飛翔する。 ACT3の射程距離を外れ、重さがなくなった木は激流へと飲み込まれ消えていった。 「うわぁ、僕達もヘタするとあの木みたいになってたんですよね。 間違いなく体がバラバラになっちゃいますよ………」 宙吊りの康一が、冷や汗を流して言う。 「でも、何とかなった。あなたのおかげ」 ポツン、とタバサが言った。 「僕の力じゃあないですよ、タバサさんが道を創ったんです。僕はそれをお手伝いしただけですから。 それと、そろそろ口に銜えるの止めてもらえませんか?シルフィードさん……」 シルフィードの口に銜えられ、締まらない格好の康一が呻いた。 「驚愕……」 川の上流、森に遮られた川岸で残った一人のメイジが呟いた。 この土のメイジは川の上流にて、水を塞き止め追っ手を始末するための手筈を整えていた。 策はほぼ完璧。逃れる余地はまずなかった。 しかし追っ手はこの鉄砲水を逃れ、さらにもう一人の仲間まで倒してのけた。 殺されてはいないようだが気絶していようで、その間に杖は破壊されてしまうだろう。 なんとか助ける手立てはないものかと思考する。 その考える隙に、背後でガサリと茂みが動いた。 音に反応して振り向き杖を向けるが、時すでに遅し。 「カァ…イキョオッォォゥ……」 ガインッ、と頭部をしたたかに殴りつけられて倒れこむ。 「不、覚」 立っていたのはアニエスであった。 スデにアニエスは空から鉄砲水を見て、川の上流に敵がいることを察知していたのだ。 そして背後から忍び寄り、手に持つ剣の腹で頭部を一撃。 アニエスの個人的感情としては、殺してしまっても全く構わないのだがそれはマズイ。 「人のことを殺そうとしておいて、それでも殺さずぶん殴っただけで済んだ。 これはわたしが途轍もなく慈悲深いということの表れだな。うん」 その割には、死んでもおかしくない勢いで頭を殴っていたが。 場所を戻して、最初に来た小屋の跡地。 この小屋跡地で倒したメイジも含め、三人のメイジが身体検査した上で縄で拘束して転がされていた。 もちろん周囲の警戒をするのは怠らない。康一はACT1で辺りを警戒中だ。 「しかし、どうやらこれで任務完了といったところだな」 「やー、さすがにあの鉄砲水は死ぬかと思いましたけど、何とか生きていられてよかったです。 これもタバサさんの魔法と、シルフィードさんが空から鉄砲水のこと教えてくれて、僕達を助け出してくれたおかげですね」 「きゅいきゅい(そんなことないわよー、照れちゃうわぁ)」 恥ずかしそうに、巨体を揺らして照れるシルフィード。 「別に謙遜しなくてもいいですよ」 照れるシルフィードを褒め、微笑ましく会話する康一。 その瞬間タバサはシルフィードの背に乗って追跡中の違和感を思い出した。 違和感の正体、いまのタバサにはそれが何なのかハッキリと分かった。 「あなた……この子の言葉が分かるの?」 「え?」「きゅい?」 同時に首を捻って疑問符を浮かべる、康一とシルフィード。 「いま会話してた」 また一人と一匹は同時に首を傾げて顔を見合わせ、そして爆発。 「だわああああああぁぁあああッ!!」 「きゅうういいいいいいぃぃぃ!?(何でーーーーーーーーー!?)」 慌てふためく一人と一匹を尻目にタバサは康一の「右手」を見つめた。 「ルーンが光って、いる」 え?、と康一が呟きルーンの刻まれた右手を見る。 すると、薄ぼんやりではあるが康一の右手のルーンが光っていた。 「な、何だ、これ?」 「何を一人で騒いでるんだお前は!うん? それは…確か姫様と契約した証である、使い魔のルーン、だったな。 何故それが光っているんだ?」 覗き込んだアニエスが聞くが康一にだって分かるはずもない。 「いや、何だか、急に光だしちゃって……………………あれ? いまアニエスさん、一人で騒いでいる、って言いましたか?」 「何?いや確かに言ったが、それがどうした?」 もしかしてと思い、康一は思いきってアニエスに聞いた。 「まさかアニエスさん、シルフィードさんの声が分かって、ない?」 空を飛翔するシルフィード。その背にまたがるのはタバサのみ。 康一とアニエス、捕らえた三人は来たときの馬車に乗って移動中だ。 シルフィードの言葉を理解した康一。 秘密ではあるがシルフィードは風韻竜という、人の言葉を喋ることが出来る古の竜種だ。 しかし康一は人の言葉で話したわけではないシルフィードの言葉を理解した。 不思議な能力を持っていることもあるので、その能力で会話しているのではと思ったが、あの康一の驚きようからして、それはなさそうだった。 右手のルーンが光っていたことからして、あのルーンの与えた効果なのかもしれないが、実際はどうなのだろうか。 あの後、シルフィードは冷静になってみると、人の言葉で話さなくても自分と会話できる者が見つかったということで、とてもご機嫌になった。 お喋りな自分の使い魔が、自分の迷惑にならないように口を噤んでいることを考えれば、いいことなのかもしれない。 あの使い魔の少年、コーイチは人が良さそうだったので、頼めばシルフィードのいい話し相手になってくれることだろう。 考えるタバサの瞳に光が差し込む。どうやら夜明けの時間となったようだ。 「でも、おねーさまが無事で本当によかったわー!」 タバサ以外に人がいないことをいいことに、シルフィードが人の言葉で話しかけてきた。 「それに何だか、おねーさま楽しそう!」 「楽しそう?」 そうかもしれない。今晩の出来事は心動かされることばかりだった。 封じてきた感情が少しだがこぼれだし、体中が熱くなった。 忘れていた。楽しいというのはこういうことなのかもしれない。 朝の清清しい風を切って、シルフィードはゆっくりと馬車のスピードに合わせて飛ぶ。 タバサの頬も風に打たれ、一晩で随分ボロボロになったマントがゆらゆら揺れた。 仕事は完遂し、水の秘薬の情報も手に入る。 いいこと尽くめのタバサだが、いまはそんなことを忘れていた。 地上を見て、ホロ付きの馬車の中にいるであろう彼のことを想う。 彼のことを想うだけで、何だか心が温かくなった。 タバサは地平線の先から上る太陽を見つめる。 眩しく、新しい日の始まりを告げる知らせ。 今日もハルケギニアに日が昇る。 To Be Continued…… 16< 戻る
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6575.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 「――……」 音の無い世界って、こんな感じなのかもしれないなって思ったんだ。 「――……」 いや、むしろこの部屋だけが、どっか遠い世界にポツンと、 切り離された状態であるって方がしっくりくるかもしれない。 「――……」 遠くで、誰かの声がする。なのに、この部屋では衣擦れと呼吸の音がわずかにするだけ。 今なら、カエルがまばたきする音すら聞こえるかもしれない。 「――つかぬことを、聞いて良いか?」 「……う、うん、どうぞ……?」 アニエス先生に解毒剤を飲んでもらった後、何ともいえない沈黙がボク達を支配していたんだ。 アニエス先生は、天井を見上げてから、眉間に痕が残りそうなぐらい皺をよせて、 ずーっとその状態で床の1点を見つめ続けていたんだ。 「――そこの戸だが――明らかに周囲と違うな?まさか、誰かが壊した――ということはあったか? その――例えば、まさかとは思うのだが、わたしがとか?」 きっと、惚れ薬のせいで記憶があやふやだから確かめたいってことなんだと思って、 ボクは正直に答えちゃったんだ。 「うん……アニエス先生が、思いっきり壊しました……」 アニエス先生の眉間の皺が一層深くなる。 「――ま、まさかだが――わたしは、何事か、叫んでやいまいな? そ、その、本当にまさかだぞ?うん、いやわたしの思い違いならいいのだが――」 眉間の皺にそえたアニエス先生の指先に力がこもるのが分かる。 「えっとー……叫んでた、かな?」 「な、何を!?何と叫んでいた!?」 「……『今さら疑うものか!私はそなたを信じる!!』……とか?」 信頼されてるなって思って、うれしい言葉だったのは間違いないんだけど。 それを聞いたアニエス先生は、天を大きく仰いだんだ。 そして、大きく、世界から音を取り戻すかのように、大きく、叫んだんだ。 「――ぎにゃぁぁぁぁ!!」 ゼロの黒魔道士 ~第三十五幕~ 乙女のピンチ 「――ウボァー……」 「え~と~……」 アニエス先生は、叫んだ後、変な踊りみたいなものを踊って (なんか、頭を抱えたままクルクル回って)、 その後壁に頭をグリグリと押し込んで、変な声を出して固まってしまったんだ。 「――ウボァー……」 「あ、アニエス先生、大丈夫……?」 心配になったから、アニエス先生の肩をそっとゆすろうとすると、ギーシュがそれを止めたんだ。 「――ビビ君、残酷だからもうやめておこう。今は、壁とでも話すのが一番だ」 「え、ど、どういうこと……?」 ルイズおねえちゃんたちも、悲しそうな顔をして部屋を出て行こうとする。 「――記憶はそのままなんてねぇ……モンモランシー、あんた、とんでもないもん作ったのね」 キュルケおねえちゃんがため息をつく。 記憶があるってことが、そこまで酷いことなのかなぁ……? 「こ、ここまで酷いとは思わなかったわよ!――今はものすごく反省してるわ」 「反省してもらわなきゃ困るわよ。私の部屋なのよ?」 ……えっと、アニエス先生、どうなっちゃったの? 「相棒、鎧の姉ちゃんは“ブレイヴ・ブレイク”しちまったってことよ」 「“ブレイヴ・ブレイク”?な、何なの、それ?酷い病気なの?」 ……だとすると、とんでもないなぁって思うんだけど。 「まぁ、怪我みてぇなもんだな。誇りの崩壊ってぇことよ。体にゃ異常はねぇけど、今なら小石1つで死ぬ状態だわな」 そ、それってとっても酷い状態じゃない? 「あ、アニエス先生、大丈夫!?」 「相棒っ!だからそっとしといてやりなって!今はそれしかねぇ。なぁに、誇りなんざ時間が立てば戻る――はずだがな」 ……ボクに、何もできそうにないのが、歯がゆかった。 「あ、アニエス先生……お大事にね?」 「――ウボァー……」 地獄の底から舞い戻ってきたみたいな声を出しつづけるアニエス先生。 ……早く、元気になって欲しいな…… ・ ・ ・ ルイズおねえちゃんのお部屋にはいれないから、 授業の無い午後、ボク達は図書室にいたんだ。 ルイズおねえちゃん達は、みんなそれぞれ調べ物があるみたい。 ちなみに、ボクはこの世界の文字が読めないみたいだから (絵つきのところはなんとなく分かるけど、文字がちょっとずつ違うみたいなんだ)、 絵本を適当に選んでもらって、言葉の勉強をすることにしたんだ。 『イーヴァルディの勇者』っていうタイトルで、お城の前に戦士がたたずんでいる絵からはじまっている。 その本を、ときどきルイズおねちゃんの邪魔にならないように意味を聞きながら、ゆっくりと読んでいったんだ。 「――そう、それは『探求』って読むの。だから、ここは『そして探求の旅は始まった』ね」 「……あ、こっちは『旅』なんだ」 絵の中には、おっきな橋とお城が幻想的に建っている。 なんか、ここから物語がはじまるんだって感じで、すっごくワクワクする。 「――うぅむ、やはり関節が重要か……」 ギーシュは『アダマン鎧の歴史』って本を読んでいる。 一昨日の晩の戦闘でもうちょっと鎧について研究しようとしているらしい。 「――まったく、とんだ災難だったわ。しかも部屋には帰れないし……」 ルイズおねえちゃんが読んでいるのは『吟遊詩人の心得』って本。 さっきは「しずかに やさしく」って部分が使えないかって吟味していた。 「も、もういいじゃない!終わったんだから!」 モンモランシーおねえちゃんは『ゾディアックレシピ』という本で新しい調合を見ているみたい。 みんな、勉強熱心だなぁと思うんだ。 「本当に終わったのかしらねぇ?あんたとギーシュのことだから、ひょっとして――」 そう言って、からかっているのはキュルケおねえちゃん。 キュルケおねえちゃんは、他の人とはちょっと違う物を読んで、っていうか、見ていたんだ。 「う、うっさいわね!二度とするわけないでしょ!!」 「――ところで、さっきから気になってたんだが……なんで、『地図』を?」 ギーシュが聞いた通り、キュルケおねえちゃんが広げていたのは、 『地図』だったんだ。それも、大きさも、詳しさもバラバラのをいくつも…… 「ん?ちょっと調べ物よ。タバサをちょっとアテにしてたけど、あの子、あれで結構忙しいからねぇ――」 タバサおねえちゃんは、「お仕事の報告」ってことで、 奨学金を払ってくれている人のところに行ってるんだって。 奨学金をもらうって、大変なんだなぁ…… 「……ん?……これも、図書室にあった地図なの?」 キュルケおねえちゃんが机に広げている地図の中に、1枚だけ、妙に古ぼけてて汚いのがあったんだ。 あちこち黄ばんで、ボロボロで、穴あきチーズを思い出させた。 「あら、ビビちゃん、気づいちゃった?も~、目ざといのね~」 キュルケおねえちゃんが嬉しそうにそれに反応する。 地図って言っても、色んな色の線が細かく入り乱れていて、どれがどういう意味かさっぱりだった。 例えば、青色の線は、海岸線のようにも見えるし、河の流れかもしれない。 「ちょっとね、掘り出し物で見つけたのよ。それがどこの地図かなぁって思ってね」 「掘り出し物、ねぇ?何の地図だっての?」 ルイズおねえちゃんが、詩を作るのに行き詰っちゃったのか、興味をしめしてきた。 「えぇ~、ルイズ、あんたまで興味あるの~?ビビちゃんにだけこっそり教えようと思ったのにぃ~」 キュルケおねえちゃんが冗談っぽく言いながら、またボクに抱きつく。 「な、なんでビビだけなのよっ!?」 「だって~、折角のお宝探しを邪魔されたくないもの!」 ……お宝探し? 「――え、何かい?じゃぁこれは宝の地図だっていうのかい?」 ギーシュが『お宝』って部分に食いついたみたいだ。 「あ、バレた?バレちゃ~しょうがないわね!」 ……なんか、むしろバラす気満々だったような気も…… 「――なんか、すっごく胡散臭いんだけど、どうしたの、これ?」 モンモランシーおねえちゃんが『ゾディアックレシピ』をわきによけながら地図に注目する。 「ん?買ったのよ。知り合いの古物商から!ちょっと良い値がしたけど、これは本物よ~!」 ……なんか、ちょっとどころじゃなく、すっごく胡散臭い気がするんだ。 「――ちなみに、いくらだったわけ?」 「えっと~、5枚セットで――ゴニョゴニョ」 ……お宝の地図が5枚セット?……騙されている感じがするのはどうしてなのかなぁ? 「――は!?ば、バッカじゃないの!?こんなチリ紙にそんな値段をつけるって何!?」 詳しい値段は聞きとれなかったけど、それなりの値段だったらしい。 ルイズおねえちゃんの声があまりにも大きかったから…… 「ちょっと!!あなたたち!さっきから私語がうるさいですわよっ!!出てお行きなさいっ!!!」 ……図書室の人に追い出されちゃったんだ。 ・ ・ ・ 「――で、結局これって何処の地図なのよ?バッテン印がどこを示しているかさっぱりじゃない?」 ボク達は、ヴェストリの広場でさっきの地図を広げていたんだ。 『地図帳』っていう、ハルケギニア中の地図を何枚も集めた本も図書室から借りてきて、一緒に広げている。 「それなのよね~……1つ仮説を解決しようとすると、2つ疑問が出てきちゃって……」 「――騙されて無いかい?やっぱり」 「そんなわけないじゃない!見てよ、この紙の古さ、それに上等さ! この上質な紙がこんなに古ぼけるからには、何らかのいわくがあってしかるべきでしょ!」 確かに、その『お宝の地図』は、羊皮紙なんかよりもずっとつやつやの紙でできていて、 それがボロボロになるぐらい古いってことは、やっぱり価値があるってことなのかなぁ? 「――でも、結局描いてある内容が分からなければクズ紙も同然じゃない?」 モンモランシーおねえちゃんの指摘って、現実的で問題の真中をぴったり言ってしまってると思う。 「と、いうわけで!あんた達の知恵を借りたいのよ!タバサがいないのは不満だけど、 一応、あんた達、学科の成績はトップクラスじゃない?ギーシュは除くけど」 なるほど。だから、わざわざあんな風にして、この地図の興味を引いたんだ…… キュルケおねえちゃん、頭いいなって思う。 「――ま、まぁいいわよ?詔も進んでないし、いい気分転換ね」 ルイズおねえちゃんは、『トップクラス』って言葉にちょっと照れてるみたいだ。 「私はパス。そんな胡散臭い話に――」 「――『惚れ薬』の噂話、殿方とピロートークでするにはぴったりかもね?」 モンモランシーおねえちゃんの台詞に、キュルケおねえちゃんの言葉がかぶさる。 「ぐっ……」 モンモランシーおねえちゃんが言葉に詰まる。 惚れ薬の話をあんまり広められたくないってことなんだと思うけど…… 「……ぴろぉとぉくって、何……?」 「――ビビ君、君はまだ知らなくていいよ」 何故か、ギーシュの顔が少し赤くなっている。 ……なんなんだろ?ぴろぉとぉくって……地名、かなぁ……? 「わ、分かったわよ!協力するわよ、協力!お、脅しに屈したわけじゃないからね!」 「まぁ、いいでしょ。これでチャラ、ね。――今のところは」 なんか、キュルケおねえちゃんがフフフと笑うところに暗闇の雲みたいなのがうごめいてる気がしたんだ。 「ところで、僕もそこまで学科試験の成績が悪いわけでは……いやトップクラスではないけども――」 「だって、ギーシュ、想像力が無いもの」 「空気読めないところもあるし」 「し、失礼なこと言わないでよ、2人とも! ――そ、そりゃぁギーシュもちょっと頭の回転が遅いところもあるけれど!」 ……ギーシュ、最後のモンモランシーおねえちゃんの言葉が一番堪えたみたいで、 その後、ボクとデルフがしばらく慰めることになっちゃったんだ…… ・ ・ ・ お日さまが傾いて、ボクの影が自分の身長を追い越すぐらいになっても、 全然地図探しはうまくいかなかったんだ。 線がアルビオンの軌道という仮説も、潮の満ち引きの痕っていう仮説もダメだったんだ。 「――な、なかなか手こずらせるわねぇ!ま、まぁお宝が簡単に見つかったらつまらないけれども!!」 キュルケおねえちゃんは、それでもしぶとく、 地図に新しい穴が空いちゃうじゃないかってぐらい、じっと地図を見つめていた。 「――と、いうか、これってそもそも地図なのかい?」 ギーシュは、確かにあんまり頭は使っていないと思うときはあるけれど、 ときどき、妙なところに注目して、みんながハッとすることを言うなって思う。 「ち、地図よ!そう言って売られてたんだから、地図に決まってるでしょ!」 キュルケおねえちゃんがすごく必死だ。 ……安くなかったから、かなぁ?地図って信じたくていっぱいって感じがする。 「――あら、それって――」 「……あ、シエスタ、もう洗濯物の取り込みの時間?」 いろんな荷物を持ったまま、シエスタが通りがかって寄ってきたんだ。 「あ、いえ、洗濯物はまだですけど――その紙って……」 「キュルケが騙されて買った地図もどきよ」 「騙されて無いってば!!」 ルイズおねえちゃんの指摘に、キュルケおねえちゃんが必死で否定するけど、 シエスタの視線は地図の釘付けになっていたんだ。 「――間違いないです。これ、タルブのです」 「……え!」 ……本当に、地図だったの? 「タルブってどこだっけ?」 「えぇと、確か、ラ・ロシェール近郊の村だったかしら、ワインで有名な」 「……シエスタの、実家があるんだよね?弟さんとかがいっぱいいるって……」 前に、洗濯をしながら聞いたことがあったんだ。 弟さんたちを大切に思っていて、失敗談とか、自慢話とか、たくさん聞いたんだ。 「えぇ、間違いなく、これってタルブのですわ……」 「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!!そ、それ本当に!?ホントに本当に!?」 キュルケおねえちゃんの目が爛々と輝いている。 さっきまで、偽物かもって思ってた分、喜びもひとしおみたいだ。 「き、貴族様に嘘はつきませんわよ……」 少しだけ、その剣幕にシエスタが引いている。 それぐらい、すごい迫力と勢いだった。 「案内!貴女の村なんでしょ!?案内して!」 キュルケおねえちゃんは今すぐ馬車を借りて来ようっていう勢いだった。 「……す、すいませんっ!それはちょっと……」 シエスタの表情が、悲しそうに曇った。 「あ!ごめんなさいね、私としたことが!もちろん、貴女のために学院に許可は取るわ! 報酬だってきちんと払うし、そんな長くはかからないでしょうし……」 キュルケおねえちゃんはもうワクワクが止まらないって感じだった。 「ち、ちがうんです……じ、実は……」 シエスタの目から、大粒の涙がポツリと落ちた。 「私、私……実は……」 そこから、ポツポツとシエスタが事情を話しはじめたんだ。 ・ ・ ・ 「モット伯、ね……あんまりいい噂は聞かないわねぇ」 シエスタは、モットおじさん、この間会った、カールしたお髭の貴族の家に雇われることになったらしい。 ……そんなに、悪いこと、なのかなぁ? 「え、そんなに悪い噂が?父の知り合いで、僕も見知っているが……」 ギーシュも疑問に思ったらしい。 この間、会った限りでは、気のいいおじさんって感じだったんだけどなぁ? 「はぁ?ゲルマニアの私ですら知ってるのに、これだからトリステインの男は……」 キュルケおねえちゃんがあきれ顔だ。 「政治家としては優秀だけど、女と見れば見境なく……って聞くわ。 平民の女を次々に毒牙にかけて食いものにする、非劣な男ってね……」 毒牙?食いもの?え、ま、まさか…… 「……ど、毒で弱らせて食べちゃうの!?」 「相棒~、違ぇよ!ぜんっぜん違ぇよ!いいか、食うってぇのは、男が女を……」 「わーわーわーわー!!!」 ギーシュが、大声をあげながらデルフの鍔の部分をマントで覆い隠したから、 その意味を知ることはできなかったんだ…… 結局、食いものにするって、何なんだろ……? 「ビビ、あんたはまだ知らなくていいわ」 ルイズおねえちゃんがため息をつく。……気になるなぁ。 「しかも今夜から、なのね。それで、その荷物を……」 ともかく、シエスタは、自分の部屋から荷物を運びだして、モットおじさんの所へ行く準備中だったんだって。 ……気が進まないのに、行かなきゃいけないってことだから、悲しんでいるっていうのは、なんとか理解できた。 「わ、私、断れなくてっ……す、すいません、こんなことを貴族の皆様に言うのは……」 シエスタの涙が、地面に小さな水たまりを作っていた。 なんとか、してあげたいなぁ…… 「よし、分かったわ!私達がなんとかするっ!!」 「キュルケ!?」 キュルケおねえちゃんが、勇ましく立ち上がったんだ。 「み、ミス・ツェルプストー!?」 シエスタの潤んだ瞳が上にあげられた。 お日さまの光をキラキラとあちこちに撒いている。 「その代わり、貴女の村を後で案内してもらうわよ?」 にっこりと笑うキュルケおねえちゃんが、すっごく男前に見えたんだ。 女の人なのに…… 「ふむ、確かに、乙女の危機とあれば、なんとかしたいが……何か、方法はあるのかい、キュルケ君」 ギーシュも、ちょっと乗り気だった。 ラグドリアン湖で何もできなかったから、なのかなぁ? 「そうよねー、アポイントを取らないと、会ってもくれないでしょうし……」 ルイズおねえちゃんが考えこむ。 「大体、会ってどうする気よ?噂を基に『返してくれ』って言う気?」 モンモランシーおねえちゃんの指摘はいつも鋭い。 ただ、会うだけじゃダメなんだ。 それに、完全に悪い人ってわけじゃないから、モットおじさんを倒すってわけにもいかないし…… ……何か、方法は無いかなぁ…… 「あ」 キュルケおねえちゃんが、突然、何かを思いついたのか、手を叩いた。 「ねぇ、ルイズ、こういうのって、アリかしら……」 ルイズおねえちゃんの耳に両手をあてて、ひそひそ話をはじめちゃった。 「何よ、どうせくだらない……え?いやちょっとそれは!?……うん、あ、それはアリかも……え、ギーシュが!?」 ……?ギーシュが、何かやれば、シエスタが助かるのかな? 話の流れが全然つかめなかった。 「――って作戦、どう?」 キュルケおねえちゃんがニッと白い歯を見せて笑った。 「い、いいんじゃない?うん、おもしろいわ!」 ルイズおねえちゃんも親指を上げる。 どうやら、とってもいい作戦みたいだけど……おもしろいって、何? 「おいおい、何をやらかすつもりだい?」 ギーシュも、自分の名前が出たから、気が気じゃないみたい。 そんなギーシュに、キュルケおねえちゃんは、咳払いをしてから、 大真面目な顔になってこう言ったんだ。 「ギーシュ、あんた覚悟、ある?」 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5230.html
前ページ次ページ虚無と狼の牙 虚無と狼の牙 第十九話 トリステイン城下町にある酒場魅惑の妖精亭は、シンと静まり返っていた。タルブがアルビオンの侵攻を受けたというニュースを聞いて、タルブ出身の店長スカロンはどうしても店を開ける気持ちになどなれなかったのだ。 「大丈夫よ、父さん。あそこの人たち、ほんとうにしぶといから平気だって」 ジェシカが椅子に座って頭を抱えるスカロンの肩をポンと叩く。 「わたしだって、そう思っているわよ。けれども、やっぱり心配で心配で」 そう言ってスカロンが頭をフルフルと振った時だった。カランとベルの鳴る音がして、店の扉が開いた。 「あ、悪いんだけれども、今日は店は閉めてるんだ――って、あんた、ウルフウッド?」 「え?」 ジェシカの素っ頓狂な声に、スカロンも顔を上げる。そこにはつい先日アルバイトでこの店にいた男の姿。 「よう、店長。何も言わんと、一晩泊めてくれへんか?」 「そ、それはかまわないけれども、それあんたが背中におぶっているのは、ルイズちゃん?」 「――あぁ」 ウルフウッドは頷くと、店の中へと入ってくる。そして、ウルフウッドの後ろから、頭を掻きながらコルベールが付いてきた。 「って、コルベール先生まで? ウルフウッド、コルベール先生と知り合いなの?」 「え? ジェシカ、コルベールセンセを知っとんのか? 前にちょっとだけ店に顔を見せたことはあったけれども」 「ええ。うちの常連。セクハラじーさんとよく来るわよ」 「な! だ、断じて常連などではありませんぞ! 今まで数回やって来たことがあるだけです! っていうか、ウルフウッドくん。汚いものを見るような目で見ないでください……」 「ハゲがスケベっていうのは、ほんまやったんやな……」 「まぁまぁ、そんなやり取りは置いといて。ルイズちゃんは寝てるし、お二人とも随分お疲れの様子だし。早く部屋の用意をしてあげてさしあげて、ジェシカ」 「はいはい。なんか今回もワケありっぽいしね」 「……今回は、ワケは訊かんといてくれるか?」 ジェシカはほんの少しだけ、考えるような仕草を見せた。 「客としてお金を払ってくれるなら、へんな詮索はしないわよ。それに、今こっちも例の戦争のおかげでそんな気分じゃないしね」 片手を振りながら、ジェシカは答えると、店の奥へと入っていった。 $ ウルフウッドはゆっくりと眠ったままのルイズをベッドに横たえる。 「随分と疲れとったんやな。泥みたいに眠っとるわ」 「あれだけの魔法を使ったんですから、仕方ありません。今は、ゆっくりと休んでもらいましょう」 コルベールが部屋の隅に荷物を降ろしながら答える。 「なぁ、センセ。道中で言うていたこと、あれはどういうことなんや?」 「……虚無、ですか?」 「あぁ」 コルベールはゆっくりと床に腰を下ろした。 「あれは間違いなく魔法でした。しかし、あれは明らかに私の知っている四大系統のどこにも属していない」 「やから、虚無やと?」 「それだけではありません。ガンダールヴ、つまり君の左手に刻まれたルーンですが、それは本来虚無の使い手である始祖ブリミルの使い魔に現れるルーンのはずなのです。それにあれは明らかに水のルビーそして始祖の祈祷書という始祖の秘宝から生まれていた」 「やから、虚無だと言うたわけか」 「ええ」 「……そもそも、その虚無というのはなんや?」 「わかりません。なにせ、ほとんど伝説の代物ですから。分かっているのは始祖ブリミルが使っていた系統であるということ、それだけです」 「あの破壊力見たやろ? あの巨大な戦艦が、あの白い光に包まれた瞬間、丸ごと消えたんや」 ウルフウッドはあの時を思い出す。あの時、レキシントン号が目の前に迫り絶体絶命の場面で、ルイズがなんらかの呪文を唱えた。その直後白い光が辺りを包み、そして再び目を開いたウルフウッドが見たのは、何も浮かんでいない青い空だけだった。 「あの時、私に確実に分かっていたのは、とにかくあの場から逃げ去ることだけでした。もしも、彼女が本当に虚無の使い手だとしたら、それはあまり人に知られるべきことではないと思います」 そう言って、コルベールは眠ったままのルイズの顔を見る。 「まぁ、これ以上あれこれ考えてもしゃあないやろ。肝心のじょうちゃんが魔法を放った直後から、こうやって眠っとるんやから」 「そう、ですね」 「とりあえずここで一泊して、それから魔法学院へ戻るで。虚無かなんかは知らんけど、こんな小さな子が過酷な運命なんて背負う必要はないんや。何事もなく日常に戻れたら、それでええんや」 ベッドで眠るルイズの寝顔は穏やかで、それゆえに彼女をよりいっそう幼く見せていた。 $ 翌朝、一人の騎士が魅惑の妖精亭の前に立った。穏やかに、しかし規則正しくドアをノックする。 「はいはい、こんな居酒屋に朝っぱらから何の用だい?」 ジェシカが眠い目を擦りながら、ドアを開けた。普段はこんな朝の時間は眠っているので、彼女は少し機嫌が悪い。 「朝からすまないな。一つ尋ねたいことがある」 「へい?」 寝ぼけたジェシカはぼんやりと相手の顔を見る。言葉遣いは男みたいだが、声は高い。 「この建物に、昨夜巨大な十字のようなものを担いだ黒服の大男と、頭のはげた中年の男がここへ来なかったか?」 「……悪いですけど、あなたはどちらさんですか?」 彼女の探し回っている人物を理解したジェシカの頭は、一瞬で覚めた。いきなり彼らを探りに来た相手に警戒心をむき出しにする。 「これは失礼したな。私は女王陛下直属の銃士隊隊長アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランだ」 「じょ、女王陛下直属の!」 アニエスの正体にジェシカは大声を上げて驚く。 「この建物に彼らが入ったという証言があるのだ。中を調べさせてもらう」 アニエスは強引にドアを開けて、ジェシカを押しのけた。 「ちょ、ちょっと、いくら女王陛下直属でも、いきなり」 「下手に匿うとためにはならんぞ」 アニエスはずいずいと酒場の中へと入っていく。 「い、いや、でもさ」 「かまわへんで」 彼らの部屋がある二階へ続く階段からウルフウッドが現れた。それに続いてコルベールも姿を見せる。 「遅かれ早かれ、ワイらのことはばれると思とったからな」 「しかし、昨日の今日とは予想外に早いですね」 コルベールが困ったように笑いながら、頭を掻く。 「捕虜たちからお前らに関する目撃証言は山のようにあったのでな。それに、巨大な十字のようなものを担いだ黒服の大男と、頭のはげた中年の男はよく目立つからな。探すのは簡単だった」 「……あなたがあんな大きなものを担いでいるから」 「うるさい。お前のハゲ頭かて、入っとったやろが」 ウルフウッドとコルベールがお互いを肘でつつきあう。 「なんにせよ、私がなぜお前らを探しているか。それはわかっているな。別段、危害を加えようという意思はない。大人しく同行してもらおう」 アニエスがウルフウッドたちの前に出る。その様子を見てウルフウッドとコルベールはお互いを見た。 「どうする?」 「逆らうわけにはいかないでしょう」 「けど、このままやとじょうちゃんを巻き込んでしまうで」 「なにをヒソヒソと話している!」 アニエスがウルフウッドとコルベールを一喝した。 「ちょっと待ってくれ。一応こっちにも心の準備っちゅうもんが――」 「黙れ! 私は貴様らにお願いしているのではない。命令しているのだ。女王陛下の命令に拒否など許されると思うな」 ちっ、とウルフウッドは舌打ちをした。追いつかれるのが予想よりも早すぎた。まだ、何の対策も出来ていない。 どうする――、そうコルベールと相談しようとしたとき、 「わかりました」 ウルフウッドの背後から声が聞こえた。振り返ると目を覚ましたルイズが立っている。 「じょうちゃん、お前」 「わってるわよ、ウルフウッド。でも、どちらにしてもこれは遅かれ早かれちゃんと女王陛下に報告しないといけないことなの」 ウルフウッドは仕方がないというように首を振った。その肩をコルベールが叩く。 「大丈夫ですよ。私も同行しますから」 「十分やる。その間に支度を済ませて、出て来い」 そういい残してアニエスは外へと出て行った。 $ トリステイン宮殿、アンリエッタの施政室。アニエスに案内されたウルフウッドたちは、あまりにも簡素すぎる部屋に驚いていた。 「机、以外なんもないな……」 「ええ。ちょっと、これはいくらなんでも、何もなさすぎと言いますか」 きょろきょろと部屋を見回すウルフウッドをルイズが肘で小突く。 「ちょっと、あんた、失礼でしょ」 小声でウルフウッドを諭す。 「皆さん、よくここまで来てくださいましたね」 そんなウルフウッドたちの様子を見て、アンリエッタが苦笑いしながら声を掛けた。慌てて、コルベールとルイズはその場に跪く。 「って、あんたもちゃんとしなさいよ!」 ルイズがウルフウッドの服の裾を引っ張る。しかし、ウルフウッドはそ知らぬ顔だ。 「んなこと言うたかて、ワイ別にこの国の国民ちゃうし」 「屁理屈言ってないで、あんたもちゃんと跪くの!」 「まぁ、そんなに固くならなくていいですよ、ルイズ。そんなかしこまらないで、立ち上がって頂戴。そちらのお方も」 アンリエッタの言葉にルイズとコルベールはお互い顔を見合わせながら、ばつが悪そうに立ち上がった。 「すみませんね、来賓用の椅子すらなくって」 申し訳なさそうにアンリエッタは謝った。 「いえ、そんな。でも、あの姫様。なぜこのような……」 「ここに在ったものは全て売り払ってしまったのです。少しでも国庫の足しになるようにと。残ったのは机くらいかしらね」 アンリエッタは寂しそうに笑った。 「……前置きはええから、はよ用件に入ってくれ。ワイらに確認したいことがあるんやろ?」 「相変わらずですね。ルイズの使い魔さんは」 慌ててウルフウッドの口を塞いでいるルイズたちの姿を、アンリエッタは苦笑いしながら見つめる。 「女王陛下、僭越ながら人払いをお願いしたいのですが……」 コルベールが恐る恐る口を挟んだ。 「ならん。本来なら、私一人のみが護衛についているだけのことすら十分すぎるほど譲歩した結果なのだ」 アニエスが言下に否定する。 「大丈夫ですよ。このアニエスは私直属の銃士隊隊長。信頼できる人物ですから」 アンリエッタは少しいきり立ち気味のアニエスを右手で制した。 「それでは、話していただきましょう。昨日、タルブで何が起こったのか」 ルイズとコルベールは事情を洗いざらい説明した。 「そう、ですか。まさか、あなたが伝説の虚無の使い手、だったとは」 「ええ。わたしにもまだ信じられません。でも、はっきりと姫様からお預かりした始祖の祈祷書にはそう……」 「いえ、私は信じますわ。何よりもそのような奇跡でも起こらなければ、あの憎みべきアルビオンの艦隊が全滅したなんて説明できませんもの」 アンリエッタはルイズの手をとった。 「このことは、内密にしておいたほうがよろしいわね。私とこの国の上層部の人間以外にはこの話は一切知らせないことにしましょう。幸い、アルビオンの捕虜たちはあれがトリステインの新しい魔法兵器だと思っているみたいですから」 「あの後の処理は、どないなったんや?」 ウルフウッドが口を挟んだ。 「アルビオンの残党兵たちは、艦隊が全滅したのを目の当たりにしたおかげか、ほとんど抵抗をせずに大人しく投降したと聞いています。近隣の村の住民も無事だったみたいですわ」 「そうか」 そう言ったきりウルフウッドは口をつぐんだ。 「あの、姫様。これからわたしたちはどうすればいいのでしょうか?」 「……現時点では、はっきりとしたことは何も申し上げられませんわ。ルイズ、あなたの力はとても貴重なものであると同時に、扱いには細心の注意を払わなければならないもの。私の一存だけでは……」 「わかりましたわ。姫様」 「とりあえずは、また魔法学院に戻って頂戴。また、時が来れば、あなたの力を借りることもあるでしょう」 ルイズとコルベールは恭しくアンリエッタに一礼した。二人はアニエスに促されるままに部屋を出ようとする。しかし、ウルフウッドだけはその場を動かない。 「ウルフウッド?」 ルイズが不思議そうにウルフウッドを振り返った。 「時が来れば力を借りる、いうのはどういうことや?」 ウルフウッドはアンリエッタをにらみつける。 「それは、そのままの意味ですわ」 アンリエッタが感情のこもっていない声で答える。 「お前ら、こんな小さなガキを人殺しの道具として使う気か? こんなガキに人殺しをさせる気なんか?」 アンリエッタは何も答えない。ただ、ウルフウッドの瞳を見つめる。 「貴様! 陛下に対して、何たる無礼な口の聞き方を!」 アニエスがウルフウッドの首に剣を突きつけた。しかし、ウルフウッドはアニエスを一瞥もせずにアンリエッタをにらみつける。 「ウルフウッド! やめなさい! わたしは貴族なのよ。国のために、陛下のために、戦場で戦うのは貴族の義務なんだから」 「やかましい! 人を殺したこともないガキが知った風な口を叩くな!」 ウルフウッドが大声で怒鳴る。その迫力に彼の肩に手をかけようとしたルイズの動きが止まる。 「ウルフウッド君」 コルベールが無言のまま嘆息するように首を左右に振った。その仕草を見て、ウルフウッドもあきらめて踵を返し部屋を出ようとする。アニエスはしぶしぶといった表情で、ウルフウッドに突きつけた剣を納めた。 ルイズもまだなにか言いたそうな表情だったが、仕方なしにコルベールに付いて部屋の外へ歩き始めた。 「ルイズ」 アンリエッタが去ろうとするルイズに声を掛けた。 「はい?」 ルイズが不思議そうに振り返る。 「いい使い魔を持ちましたね」 アンリエッタが寂しそうに笑いながら、少しだけ首を傾げた。 「ウルフウッドさん」 アンリエッタに呼びかけられたウルフウッドは無言のまま振り返る。 「ルイズを、よろしく頼みます」 ウルフウッドはほんの少しだけ右手を挙げると、そのまま踵を返して部屋を出た。 $ 魔法学院に戻ってからの数日間の日々は穏やかに過ぎた。ルイズはオスマンからねぎらいの言葉を受け、その横で結局半月ほど学校の授業をサボったコルベールは一ヶ月の給料半額カットの通告を受けた。 学院は例の戦争、特にタルブでの戦闘の話題で持ちきりであった。その中でも一足に先に戻ってきたキュルケやタバサやギーシュは、先日学院から姿を消していたことが例の戦争と関係していると噂されていることもあり、質問攻めにあっていた。 しかし、彼らが何かを答えることはなかった。 そして、当然学院に戻ってきたルイズも質問攻めにあったが、彼女が何かを答えることもなかった。 そうやって戦争の最中、これはまるで台風の目にはいったように穏やかなある日の出来事である。 「ねぇ、ギーシュ。あんた、何をしにラ・ロシェールなんかに行っていたのか。わたしにくらいこっそり教えなさいよ」 「いや、勘弁しておくれ、モンモランシー。それについては、いかに愛する君といえども教えることは出来ないんだ。代わりに、キミの美しさをいくらでも言葉ならいくらでも、途切れることなくこの口から出るのだがね」 相変わらずキザったらしいギーシュの振る舞いを見て、モンモランシーは口を尖らした。どうも、この単純でお調子者のギーシュが自分に隠し事をしているというのが気に食わない。ちょっとおだてれば喋りそうなものなのに。 ――まぁ、いいわ。アレが無事成功していたら、そんなこといくらだって喋るだろうし。 モンモランシーは心の中でそう呟くと、さっさと気持ちを切り替えた。 ギーシュは、ギーシュで本当は喋りたくて仕方がないのだが、下手に喋った場合、ウルフウッドに怒られるのが怖かった。 例の決闘でもなす術もなくやられたし、ラ・ロシェールで賊に襲われたときも、彼が相手を一網打尽にしていたのを目の当たりにしている。切れたウルフウッドに襲われるなど、想像したくもなかった。 ふぅー、とモンモランシーは小さくため息を付いた。彼ら二人は午後の柔らかい日差しの中で、テラスに置かれたテーブルでティータイムを楽しんでいた。 「そういえば、ギーシュ。のど渇かない? 今日は紅茶じゃなくて、冷たいお水なんかどう?」 「え? そうだね。せっかくのいい天気だから、その方がいいかもね」 「じゃあ、そうするわね」 モンモランシーはメイドに水を持ってくるように頼んだ。 ――さてと、ここからが正念場ね。 モンモランシーは心の中で、笑うとポケットにある小瓶を右手で掴んだ。その中身は、惚れ薬。ポーション作りが趣味の彼女は、その趣味が向上して、ついには法律で禁じられている惚れ薬の調合にまで手を出してしまったのである。 最初は作っただけで満足するつもりだったのだが、やっぱり作ってしまうと使ってみたい。そこで思いついたちょうどいい実験台がこのギーシュなわけである。普段浮気で悩まされている分、仕返ししたかったというもある。 テーブルの上に水が二杯届いた。後はここに薬を入れるだけだ。 「あ、あんなところに裸の女の人が空を飛んでる!」 「え! どこどこ?」 ……なんでこんなアホと付き合っているのかと、一瞬本気で哀しくなった。 それでもこの隙にギーシュの水に薬を入れる。 「あ、あれ見間違いだったみたい」 「え、そうかー。残念だなぁ」 「……なんか言った?」 「いえ、なんでもないです」 モンモランシーは半分あきれ返るが、けど今はそんなことはどうでもいい。さっさと、早くばれないうちにその水を飲むのよ、ギーシュ。 あたふたとしながら水に手を伸ばす、ギーシュ。何か都合が悪い話になると、とっさに飲み物に手を出す彼の癖は重々承知だ。 ――よし、もう一息。 と、ギーシュの唇が今まさにコップに触れようとした瞬間だった。 「あ、ミスタ・グラモン!」 どっかから聞き慣れた声がした。ギーシュとモンモランシーが振り返ると、そこには柔らかい午後の日差しを反射して輝く頭。 「ミスタ・コルベールじゃないですか。なにか僕に御用ですか?」 いいところで邪魔するんじゃないわよ、このハゲ! 「あ、ミス・モンモランシーもごきげんよう」 「ええ。ごきげんよう、ミスタ」 モンモランシーも怖いくらいの作り笑顔で挨拶を返した。 「あ、そうそう。こうして呼び止めたのはですな。ミスタ・グラモン、ウルフウッド君を見ませんでしたか?」 「え? ウルフウッドですか、見てませんけど?」 「そうですか」 「先生、どうかしたんですか?」 「いやー、彼に頼まれていた例のパニッシャーのメンテナンスが終わったので、彼にそのことを伝えようと来たのですが」 「ウルフウッドなら、さっき食堂のほうで見かけましたわよ」 さっさとコルベールをどっかにやるべく、モンモランシーが口を挟む。 「なるほど。だから、先生そんなに汗だくなんですね」 しかし、そんなモンモランシーの気持ちを無視してギーシュが世間話を始める。 「そうなんですよ。私の部屋は暑くて暑くて。もう喉なんかカラカラです」 コルベールが頭を拭きながら、答えた。なるほど、どうりでいつもより光っているわけだ。 「あ、よかったら、ミスタ・コルベール。水をいっぱいいかがですか?」 え? モンモランシーの動きが固まる。 「いいんですか?」 「ええ。僕はまた新しいのを貰いますから」 「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ちなさい!」 「どうしたのさ、モンモランシー?」 「そ、それあんたの水でしょ? そんなのを先生に渡すなんて」 「まだ、口をつけてないから大丈夫さー」 まだ口をつけてないのが問題なんだよ! のんきに笑うギーシュ。 「だ、だから、そうじゃなくって――」 「ぷはー。生き返りますなー!」 ……飲みやがった。 「あれ、どうしたんですか、ミス・モンモランシー、とつぜん両目を押さえて?」 「い、いえ。目にゴミが……」 あの惚れ薬は飲んだ直後に目を合わせた人物に――だから、なんとしても目を合わせるわけにはいかない! 「ちょっと、ギーシュ。こっちこっち?」 モンモランシーは目を閉じたままギーシュを手招きする。 「ん? どうしたんだい、モンモランシー?」 「悪く思わないでね」 「え?」 「チェストー!」 「ぎゃあ!」 モンモランシーはすばやくギーシュの両目を突いた。両目を押さえてうずくまるギーシュ。 「い、一体何をしてるのですか、ミス・モンモランシー?」 「……こういう愛情表現なんです。気にしないでください」 「はぁ」 しかし、状況がまずいのには変わりはない。これからコルベールが誰かと目を合わせてしまったら…… あぁ、どうしようせめて問題なさそうな人物と目を合わせて。キュルケとかタバサとか…… モンモランシーは目を閉じながら必死に祈る。そのときだった。 「おう、センセ。こんなとこにいたんかいな」 「あぁ、ウルフウッド君。よかった、ちょうど探していたんですよー」 やっちまったなぁ! モンモランシーは心の中で叫んだ。 前ページ次ページ虚無と狼の牙
https://w.atwiki.jp/bsnazo/pages/317.html
コラボブースター プレミアムカードセット プロモーションカード コラボブースター CB26 CB26-001 鏑木・T・虎徹 ワイルドタイガー CB26 CB26-006 バーナビー・ブルックス Jr. バーナビー・ブルックス Jr. CB26 CB26-011 カリーナ・ライル ブルーローズ CB26 CB26-016 ライアン・ゴールドスミス ゴールデンライアン CB26 CB26-021 ネイサン・シーモア ファイヤーエンブレム CB26 CB26-026 キース・グッドマン スカイハイ CB26 CB26-031 イワン・カレリン 折紙サイクロン CB26 CB26-036 アントニオ・ロペス ロックバイソン CB26 CB26-041 ホァン・パオリン ドラゴンキッド CB26 CB26-046 ラーラ・チャイコスカヤ マジカルキャット CB26 CB26-051 仙石 昴 Mr. ブラック CB26 CB26-056 トーマス・トーラス ヒーイズトーマス CB26 CB26-067 ダブルチェイサー バーナビー・ブルックス Jr.ワイルドタイガー CB26 CB26-068 ブルーローズ専用バイク ブルーローズ CB26 CB26-069 ファイヤーエンブレムカー ファイヤーエンブレム CB26 CB26-070 見切れ職人 ロックバイソン折紙サイクロン CB26 CB26-071 キッドのお守り マジカルキャット CB26 CB26-072 バディシステム ヒーイズトーマスMr. ブラック CB26 CB26-074 ボンジュール!ヒーロー アニエス・ジュベール CB26 CB26-076 ハイパーグッドラックモード バーナビー・ブルックス Jr.ワイルドタイガー CB26 CB26-077 わたしの氷はちょっぴりコールド…貴方の悪事を完全ホールド! ブルーローズ CB26 CB26-078 ファイヤースカイ スカイハイファイヤーエンブレム CB26 CB26-079 NEXT能力「擬態」 折紙サイクロン CB26 CB26-080 マジカルスプラッシュ マジカルキャット CB26 CB26-081 NEXT能力「バリア」 Mr. ブラック プレミアムカードセット PC10 PC10-X01 鏑木・T・虎徹&バーナビー・ブルックス Jr. [2] ワイルドタイガーバーナビー・ブルックス Jr. プロモーションカード SD56-RV009 絶甲氷盾 ワイルドタイガーバーナビー・ブルックス Jr. TIGER BUNNY イラスト データベース
https://w.atwiki.jp/bikinipai2/pages/35.html
【ボーナス確率】 GGG|赤7|青7|BIG合算|GG青|GG赤|REG合算|ボーナス合算| 1/9362.3|1/1236.5|1/1236.5|1/580|1/1236.5|1/1236.5|1/618.3|1/299.3| 設定 ART出現率 機械割 設定1 1/320 96.0% 設定2 1/295 98.2% 設定3 1/272 100.2% 設定4 1/249 104.2% 設定5 1/226 108.1% 設定6 1/206 113.3% 通常時は1つの小役で BONUS、BIKINIRUSH(ART)、ミッションSLOT、モードアップ移行抽選の抽選をしています。 モード移行率&ART当選率 リプレイ<バナナ(ベル)<スイカ・チェリー<チャンスリプレイ<中段チェリー ステージは5種類 夜>夕方>浜辺>プール>部屋の順で期待度が高い [通常時の打ち方] 変則押しはペナルティあり、必ず左リールを第一停止させること 左リール上段付近に赤7を狙い、スイカが滑ってきたらスイカ狙い。スイカやチェリーに強弱はない スイカまで滑ってもチャンスリプレイの時もあるし、チェリーが出てもチェリーつきチャンスリプレイの時があります. スイカは 中リールは、赤7の下、G図柄の下。右リールは、赤7の上、青7の上にあります。 [ボーナス] ギガパイボーナス(GGG) 280枚+ART確定 メガパイボーナス(赤7) 200枚+ARTハイチャンス デカパイボーナス(青7) 200枚+ARTチャンス ボーナス中は3択チャレンジが突然始まります。どのリールが先に回るかを当てましょう。当てれば当てるほどARTチャンス カウントダウンは早いので気をつけよう。(押さなかった時は左が選択されている?) 1回3% 2回15% 3回40% 4回60% 5回以上はART確定。全不正解は10%(全設定共通?) 5回正解で平均5.5セット獲得らしい。 七変化ボーナス(GG青、GG赤) 50枚+ART抽選 ボーナス当選時の内部状態により振り分けられ、7揃いの確率が変化する A=1/20 C=1/10 E=1/6.7 F=1/1.7 G=1/1.5 通常時はAかC確定。ART中ならE,スーパー中でF、ウルトラ中ならGが選ばれるらしい 赤7が揃えばストック確定、さらにビキニアタックという0G連風演出が発生し、何度か赤7が揃う事があります。背景色で期待度変化(デキレぽい) 【ART】BIKINI RUSH 純増1.7枚/Gのストック+上乗せG数タイプ 1セット30G+最胸バトル(継続バトル) G数上乗せ&セット数上乗せあり 2段階の上乗せ特化ゾーンにステップアップ 継続率はありません (下段通常リプレイ揃いで)スーパーへ移行 【スーパー】 ARTのカウントダウンがストップ 10G+α継続 チャンスリプレイ確率が1/2.6へ大幅UP! G数、セット数の上乗せ抽選 もちろんボーナスも抽選 ULTRA BIKINI RUSH昇格のチャンスゾーン (スーパー滞在中に下段チャンスリプレイ)でウルトラへ移行 右上がり通常リプレイ引くと転落。 【ウルトラ】 ARTのカウントダウンがストップ 10G+α継続 チャンスリプレイ確率が1/2.6へ大幅UP! G数、セット数の上乗せ抽選 リプレイ、バナナ以外の役は上乗せ確定! もちろんボーナスも抽選 再度下段チャンスリプレイ(移行リプレイ)を引くと10Gが再セットさせるST機能付き! 右上がり通常リプレイ引くと転落。 ウルトラの時に七変化ボーナスを引くと…!? 【最胸バトル】 ストックがあれば継続。うららが3カウントで勝利すると複数ストックあるらしい(次回継続確定?) 勝利期待度 メイニャン>ライム>リリィ>シーニー
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7206.html
前ページ次ページ大使い魔17 ズジャァ~…… ガイスラッガー 虚無の戦士 ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! 砂漠の底に 目覚めたる 六千年の 戦士たち 敵はガイマン 外道群 今、出撃の 時来たる ガイスラッガー 虚無の戦士 ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! 双月(ふたつき)浮かぶ大(おお)夜空 六千年の 時越える 来たれジョゼフ 大魔王 往け、ソロン号 敵陣へ ガイスラッガー 虚無の戦士 ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! 唸るぞ灼熱 砂嵐 六千年の 血が燃える 倒せイザベラ 悪女帝 いざ、腕を組め 勇者たち ガイスラッガー 虚無の戦士 ガイ ガイ ガイ! ガイ! ガァ~イ!! ズジャァ~…… 幕間その二「蘇るソロン号! ジョゼット救出大作戦!」 学院の方でドクロ少佐と鋼鉄参謀が出てきて大騒ぎになっていた頃……。 トリスタニアの王宮の一室。 シャルルとアンリエッタが、なにやら話し込んでいる。 「では、予定通りに?」 「ああ。このままドルフィンII世号で殴り込みをかける」 どうやら結構前から練っていた計画を実行するつもりのようだ。 その部屋には、何故かジョーとジェットもいる。 「002、その修道院にいるんだね? あの二人も」 「間違いないぜ。ジローたちと一緒にガリアにいた頃、偶然お偉い連中どもの会話を聞いて、わざわざ真夜中に忍び込んだからな」 ガリアで保護されていたジェットが、今はトリステインにいる理由。 それが、今回の作戦のきっかけだったのだ。 話はトリステイン魔法学院での、春の使い魔召喚より以前。 ある理由からジローとアルベルトが軍港へと向かい、「目立ちすぎるから」と置いてけ堀にされたジェットが一人腐っていた頃の話。 「『デコイは一人で十分』か……。お凸のクセにマセたこと言いやがって。ん?」 一人ぶつくさ呟いている際、たまたま重鎮と思しき連中の立ち話が目に入り、サイボーグ故の研ぎ澄まされ過ぎた聴力(それでも003に大きく劣るが)で聞き耳を立てる。 どうも大きい声では言えないことを話しているようだ。 「しかし、最近はあの簒奪者が、内政に積極的だからやり辛い」 「全くだ……。シャルル殿下が生きておいでだったら……」 「幸い、シャルロット様の『妹君』と、右手以外の『始祖の使い魔』はこちら側が確保している」 「そうだな……。駒はこちらにある」 シャルロットの妹? ジョー以外のアイツの使い魔? シャルル云々を言っていたので、ジェットは彼らが「シャルル派」であることに気付く。 「とりあえず、シャルロットの妹について聞いてみるか」 グラン・トロワの最深部にある、ジョゼフの私室。 それなりに真面目に内政に関わりだしたせいか、書類が積まれていた執務室とは違い、そこからのみは入れるこの部屋はまるで巨大なオモチャ箱であった。 それ以上に自分が持っている地球製の玩具に興味を示してくれた事への嬉しさからよくジョゼフはジェットとアルベルト、そしてジローをこの部屋に招待している。 部屋にあるのは無数の玩具、それも地球製のぬいぐるみやトイガン、果ては自作と思われる模型まであった。 「シャルロットの妹? 俺の姪はシャルロット一人だぞ。いったい誰から聞いた?」 「盗み聞きしたんだ。何か、あんたのことを簒奪者とか言ってたが」 「……信じる信じないは貴殿次第だが、俺は死んだ父王直々の指名で王位を継いだに過ぎん。シャルルは、弟はそれを喜び勇んで周りに吹聴して困らせていたな」 ふと、昔のことを思い出すジョゼフ。 それと同時に、あることを思い出す。 「そういえば……。シャルルは妙に癇癪持ちだったが、シャルロットが生まれてから更に酷くなったな。両親のことを『陛下』、『妃殿下』としか呼ばなくなったり、俺のことを悪く言ったからとメイドの一人に痕が残るような傷や痣をつけたり」 「慕われている割にはえらい乱暴者だったんだな、弟さんは」 「不思議と自分の妻子と、俺には向けなかったな、癇癪の矛先は。どうも自分が周りから持ち上げられるのが気に入らなかったらしい」 ジョゼフの呟きに呆れるジェット。 ジョゼフの方は、シャルロットが生まれて以降の弟の凶行と、ジェットから聞いたシャルロットの妹のことが、ちょうど結びついていた。 それに声を出し、何事かと聞きそうになるジェットを制し話し出す 「成る程な。アレだったら、俺が知らないのも道理だ。おっと、俺の推測を黙って聞いておけ。シャルロットが、『双子』なら、貴殿が盗み聞いた話にも納得がいく。ガリアでは何故か双子は貴族の間で忌避されている。 かと言って、殺すと後々ややこしくなる。と言うわけで、双子の片方や、他にも訳ありの私生児などを『しまって置く』場所が存在する。ここから北西部に存在する岩礁で構成された半島の先端にある、『セント・マルガリタ修道院』だ」 「セント・マルガリタ修道院……」 自分が今いる国の暗部を微かに知り、呆然となりながらも自分が目指すべき場所の名を知るジェット。 「ここからいなくなる前に、行ってみるか」 「……この国を去るんだな」 「シャルル派の奴らは、シャルロットの妹を『駒』扱いしてた。んな奴らなんかに利用されてたまるかってんだ」 その日、ジェット・リンクはカステルモールやイザベラたちに、ジローたちへの伝言を残して半ば強引にリュティスを発った。 そしてジョゼフから渡された地図を頼りに、セント・マルガリタ修道院を見つけて、日が暮れ真夜中になった頃に忍び込んだのである。 「こういう時に、夜目が利いたらどれだけ楽か。ついでに、アイツらもここにいてくれたら更に楽なんだけどな」 そうこうしている内に、ジェットは院長の部屋に入る。 院長が目を覚まし、大声を上げそうになったのでみぞおちを殴り、首を絞め、更に延髄を鼻で突いて気絶させ、あることに気付く。 「……シャルロットの妹の名前を聞く前に気絶させちまった。仕方ない、他の部屋を調べてみるか」 が、如何せん大雑把なところがあるジェットは、何故か地下に続く階段を降りてしまう。 「王族」だからきっと幽閉されてるんだろ、と短絡思考で動いていたジェットは、階段を折りきった先で、「再会」した。 「アレ? サーシャと、……リキ!?」 そこにいたのは、鉄格子で区切られた豪勢な座敷牢にいる、始祖の使い魔の残りの二人。 神の左手「サーシャ」と、記すことも憚られる「オノ・リキ」であった。 自分が言った愚痴の通りになったことに驚きながら、ジェットは狂喜する。 「二人とも、マジでこの修道院にいたのか……」 「ジェット!?」 「ジェットォ~!」 サーシャとリキも、かつての仲間との再会を喜ぶ。 が、素直に喜んでばかりもいられなかった。 「いったい何で幽閉されているんだ!? お前らならこんな牢屋なんか簡単に破壊できるはずだぞ?」 疑問をぶつけるジェット。 元からサイバノイドであるリキと、ソロン号で解析されたジョーとジェットとリキのデータを元に、蘇生のために改造されたサーシャなら、座敷牢をブチ破って簡単に脱出できる。 しかし、それをせず、おとなしく幽閉されているのがジェットには非常に気なった。 「この修道院が建っている半島は、あんたとジョーがいなくなった後、私に「海を見せたかったから」ってブリミルがアジトとして使っていたのよ」 「そしてブリミルの死後、俺とサーシャは残されたアジトの墓守として、ソロン号ごと当時は一面砂浜だったここで眠りについた。 それから数千年後、地震による地盤異状と津波によって砂ではなく岩礁の塊に変化した半島にこの修道院が建てられ、地下室の拡張工事中の作業員たちにソロン号を発見された。 そして数ヵ月後、今から数年前に俺とサーシャは目を覚まし愕然とした。サーシャがエルフであることと、俺の名前以外の全てがブリミルを神と仰ぐ教会によって隠蔽されていたからだ! それを知った時、俺は我慢ならなくなって暴れようとしたが、出来なかった……」 ガックリとうな垂れるリキ。 何処か泣いている様に見える。 それ見てただただ困惑するジェットに、サーシャはその理由を告げる。 「暴れてこの修道院を廃墟にするのは簡単だけど、私がエルフであることと、リキの存在自体が隠されたこと自体はこの修道院には関係ないことだったからよ。そんなことをしても何の解決にもならないわ。 それに、怒り狂ったこいつを止めた子がいたの。ジョゼットっていうんだけど、その子が体を張って止めたから、リキは暴れたくても暴れられなかったのよ」 「確かに俺たちなら簡単に脱出できる。だが、俺がジョゼットに止められたことを知ったロマリアの神官に釘を刺されてしまった。もし逃げようとすればジョゼットの命は保障できないと」 悔しそうに語るリキ。 それを聞いたジェットは歯軋りする。 「ふざけやがって……。!?」 そこに、修道院の人たちの怒声がこっちにまで聞こえてくる。 「お前、何をやった!?」 「実はな……」 ここに来るまでの経緯を説明するジェット。 説明を聞き終えたサーシャとリキは、怒りで震えていた。 「この馬鹿っ鼻! ジョゼット以外の私たちの味方に何てことすんのよ!」 「そんなことをすれば大騒ぎになって当然だろうがぁっ!!」 「やかましい! こっちだってお前らがいるって分かってたら、やらなかったよ! って、何か物々しい足音が!」 激しい怒鳴り合いで、自分の位置を教えてしまったことに気付くジェット。 他のシスターたちや、衛士が駆けつけた頃には、ジェットは……飛行能力で天上に張り付いて息を潜め気配を殺していた。 (あっぶなかったぜ……。あの院長、もう目を覚ましたのか) 「聖人サーシャ、聖人リキ、大丈夫ですか?」 ひどく冷静に、心にもないことを言う神官。 当然サーシャもリキも冷たい目で神官を睨む。 「全然大丈夫よ。あんたなんかに心配されなくてもね」 「それよりも、自分の身を案じたらどうだ?」 リキの言葉を鼻で笑う神官。 しかしその神官は、それがリキから、天上に張り付いているジェットに向けた「この馬鹿をどうにかしてくれ」という合図であることには気付かなかった。 当然合図に気付いたジェットの口元が嫌らしくニヤける。 数秒後、ジェットは天井から、頭から飛び降り、自慢の鼻の照準を神官に合わせた。 「ご安心を。御二人とも牢の中。私には何の危け……ヌルハチィッ!!??」 神官が言い終わる前に、キツツキの要領でジェットは己の鼻を神官の後頭部に突き刺した。 泡を吹いて失神する神官。 一方、頭から床に激突したジェットは脳天をさすりながらも起き上がり、唖然とする修道院の人たちを尻目に、サーシャとリキに一時の別れを告げる。 「絶対に助けるからな! それまで待ってろよ!」 大急ぎでその場から逃げ出すジェット。 サーシャもリキも呆れつつも期待した。 「あの馬鹿っ鼻、あの頃と全然変わってないわね。オマケに借りも出来ちゃったわ」 「そうだな。まあ、あの神官をシメてくれたことには素直に感謝できるがな」 大パニックになっている修道院。 ジェットはその隙に乗じて仲間を幽閉された慰謝料代わりとばかりに食料を物色し、この場から飛んで逃げようとした直前、一人の修道女と鉢合わせする。 「聖人、ジェット、ですか?」 「お前、何で分かるんだよ!? この暗がりで」 「だって、聖人サーシャと聖人リキが言っていた通り、鼻がすごく長いから……。あ、私、ジョゼットって言います!」 思わぬ形でジェットに会えたことに興奮しているらしく、怖がりもせずにジョゼットは一気にまくし立てる。 ジェットにとっても、思わぬ形でジョゼットに会えたのは予想外だった。 それと同時に、ジェットの鼻が反応する。 その長さのせいか変に鼻が利くジェットは、ブリミルとの契約の際に「ミョズニトニルン」の力だけでなく、メイジの系統を匂いで判別できる能力まで授かってしまった。 (この匂い……。数十年ぶりにかいだ匂いだ。酒や、なりたてホヤホヤの死体みたいなフルーティーな匂い。ブリミルの……虚無の匂いだ! 虚無の系統は、確かアイツのガキと弟子の子孫にしか現れない。そしてその子孫たちは王族だから……。 だが、それだけでシャルロットの双子の妹と決まったわけじゃないし、双子にしては似ていないからな……。確認しようにもこの状況下だと無理だ) 瞬時に考え、回答を導き出すジェット。 ブリミルの形見ともいえる額のルーンが微かに光り、ジョゼットの目には神秘的に見えた。 今の状況から、逃げるしかないと判断したジェットは、その直前に、ジョゼットに言い残す。 「ジョゼット、何年先になるか分かんねえけど、俺は必ずサーシャとリキをここから連れ出す! お前がその時までこの修道院にいたら、一緒にここから連れ出してやるからな。運がよかったら、聖人ジョーに会えるかもしれねえぞ! 他言すんじゃねえぞ!」 その言葉と共に空を飛び、ジェットは逃げ去った。 「ジョゼットがシャルロットの妹かどうか分からない。けどな、俺はアイツにあの修道院から連れ出してやるって約束した。何が何でも、俺はそれを果たすつもりだ」 「ジェット……」 ジェットの真剣な目を見て、感心するジョー。 シャルルもまた、まだ見ぬ次女を奪還する意気と、闘志を静かに高めている。 レコン・キスタも表立って動いていない今、そして始祖の使い魔であるジョーとジェットがトリステインにいるとはっきり知られた今、魔天郎はジェットから自分のもう一人の娘の話を聞いて以来、ずっと練っていた作戦を実行に移そうとしているのだ。 (僕にすら知らされていなかった、もう一人の僕の娘。きっと助ける。何が禁忌だ! 兄さんの凄さが分からないパーどもに目にものを見せてやる!) 気合を入れているジェットとシャルルをよそに、ジョーはあくまでも冷静であった。 「聖人ジョー、今回のシャルル殿下の第二子奪還作戦では、例の修道院に幽閉されている聖人サーシャと聖人リキの救出が要です。理由はどうあれ始祖の使い魔であるお二人を幽閉したことは、ガリアにとっては大きな醜聞です」 「それ故、サーシャとリキも助けるためとはいえ、実力行使にでても問題はないんだね?」 「はい。こちらには始祖の使い魔を助けると言う大義名分がありますから。むしろ、見せしめに数名ほど殺ってもらった方が好都合ですけど」 涼しい顔で言い切るアンリエッタ。 余りの衝撃発言に面食らうジョー。 それと同時に、ドアをノックする音がなり、アンリエッタが「どうぞ」と言った直後にアニエス達が入ってくる。 アニエスの後に続くように、アルベルトとピュンマも入ってきた。 奪還作戦のメンバーが揃ったことを確認したアンリエッタが、作戦内容をかなり簡潔に説明する。 「ジョゼットがタバサの妹かどうかはまだ分かりませんが、彼女の確保が第1目的です。彼女の確保の成功は、聖人サーシャと聖人リキの救出の成功と同義と考えてください。 もし違う場合は、その後改めて修道院内を探し、タバサの妹を奪還。どのパターンでも、最終的にはソロン号も確保してください」 真剣な表情で6人を見つめるアンリエッタ。 それに応じるように6人もまた真剣な表情でアンリエッタを見ていた。 数時間後、ガリア北西部の岩礁半島の先端、セント・マルガリタ修道院。 ジョゼットは今日もブリミルに祈り、ジェットが迎えに来てくれる日を待っていた。 ロマリアから派遣された神官は、どこかしら嫌な感じがするから。 しかしジョゼットには最近になって楽しみが出来た。 それは、ここに駐留している人とは別の、若い神官。 優しく、自分の知らない世界のことを話してくれる彼のことが、ジョゼットは好きだった。 ただ、彼女の目から見て、彼には欠点が三つある。 院長とここに駐留している神官に対してたまに凄く怖い顔をすること、いつも連れている二人のお供が両方とも怪物であること、そして持っている剣が嫌に不気味なこと。 「ジョゼット」 「! サイト兄、様……!?」 そうこうしている内に、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえる。 声の主は、例の若い神官。 彼の声を聞けて嬉しさ満点のジョゼットは振り返る、が、そこにいる若い神官はいつもとはかなり違っていた。 服装はいつもと同じだったが、いつも持っている剣の他にも数本の剣、更に数丁の銃を携行。 挙句の果てに手は頑丈そうな手甲を着けている。 「サイト兄様、いったい何があったんですか?」 「ん? どうしたんだい、ジョゼット」 表情はいつもの笑顔。 しかし、今の才人の目は、ここに駐留している格上の神官や、ここの院長に向ける冷酷さが剥き出しの目であった。 「だって、今日はその剣以外にも、たくさん武器を持っているから……」 「ああ。いつ聖人ジェットが来てもいいように持てるだけ持ってきたんだ。ジョゼット、実はこの前来た時に君の日記を盗み読みさせてもらったんだ。ああいうのは書かない方がいいよ」 才人の言葉が、日記に書いたあの日のことを指していることに、ジョゼットはすぐに気付いた。 聖人ジェットから「外に世界に連れ出してやる」と約束してもらえたジョゼットは、嬉しさの余り日記に書いてしまったのである。 「去年辺りから聖人サーシャと聖人リキが妙に元気な上に、君と長時間楽しそうに話しているのを院長が目撃しててね。もしやと思って部屋をこっそり漁って、日記を盗み呼んだら……。ジョゼット、聖人ジェットの代わりに俺が外の世界に連れ出してやるよ」 「でも……、それじゃ聖人ジェットとの約束が……」 「だーめ。約束の中には、極稀に破らざるを得ないものもあるんだ。それじゃ、下準備と行こうか」 そう言った才人は、ジョゼットの腕を掴んだ。 地下にある座敷牢。 いつもならこの時間帯に、ジョゼットが食事を持って来て、3人一緒に食べる。 しかし、今日のジョゼットは食事ではなく、珍客を持って来た。 「こんにちわ、聖人サーシャ、聖人リキ。俺はサイト・ヒラガ。エイジス三十二世教皇聖下の使い魔兼、直属神官です。お迎えに上がりました」 「よく清清しい笑顔で、そこまでぬけぬけと言えるわね」 「迎えに上がったにしては、余りにも重装備過ぎやしないか?」 ごくごく疑問を口にするリキ。 それに対するサイトの回答もごく当たり前であった。 「この地下の空洞で発見された際、聖人リキが暴れそうになったとの報告がありました。要は万が一を想定しているだけです。それともう一つ、こっちは私用でね……」 もったいぶりつつも、才人は背負った剣の一つを抜き、呟く。 「精剣デルフリンガー。それを貰い受けに参りました」 その呟きにぎょっとなるサーシャとリキ。 サイトの方は悪びれもせずに言い放つ。 「武器を見たり、それ関係の文献とか本を読むのが趣味でね。こっちに来てからは、それが高じて珍しくて強力な剣を集めるのと、集めた剣で敵を斬るのも趣味になっちまった。 だってさ、剣なら攻撃の際に手足は痛めない。それ以上にオークだろうがエルフだろうが腕次第で敵を自在に嬲り殺せる上に、殺った時の達成感と快感がたまんねえ」 「……最低ね! この狂犬!」 「その狂犬の飼い主が神と敬う、ブリミルに結局飼われっ放しだったお間抜けエルフに言われたくねえな……。来いよ、反射(カウンター)しか能が無いんだから、聖人リキと二人がかりでよ!」 狂犬同然の鬼気迫る表情になる才人。 それにカチンと来たのか、リキが座敷牢の鉄格子を完全に破壊し、サーシャと共に外にでる。 サーシャの手には、いつの間にか大降りの剣が握られていた。 「お望みのデルフリンガー。無事に手に入れられるとは思わないことね!」 「お前一人で、俺とサーシャに勝てると思うか?」 「先輩二人が相手である以上、ハナッから思っちゃいないさ。ビルゲニア!」 サイトの呼ぶ声に呼応して、お供の内の一人、異形の甲冑で全身を包んだ白い顔の男が現れる。 彼、剣聖ビルゲニアは呆れたように愚痴をこぼす。 「人使いが荒いですね、君は」 「何せ始祖の使い魔が二人も相手だからな。デッドライオン、ジョゼットが巻き添え食わねえようにしっかり守っといてくれ!」 サイトの声に応じて、もう一人のお供、デッドライオンが無言でジョゼットを安全なところまで避難させる。 それを見て安心したのか、才人は左手にも剣を持ち、ビルゲニアは才人が背中に背負っている剣の内一本を取った。 それは彼の愛剣、ビルセイバーである。 「本当に君は見境無しですね。勝手に私のビルセイバーまで背中に括りつけて」 「まあね。さあ、どこまでやれる? 先輩方!」 そう叫ぶや否や、才人はサーシャとリキめがけて突撃する。 一方、修道院の外では海中に潜航しているドルフィンII世号が少しづつ修道院の近くまで接近していた。 そして、ピュンマが操作し、ドルフィンII世号は加速。 あっと言う間に岩礁まで接近する。 「何処かにしがみ付くんだ!」 ピュンマの絶叫と共に、アニエスと操縦しているピュンマ以外の4人は適当な所にしがみ付き、衝撃に備える。 直後にドルフィンII世号が岩礁に乗り上げ、そのままの勢いで岩礁の上を突き進み、更に勢いを増して離陸。 そのまま低速低空飛行を敢行するドルフィンII世号から、ピュンマ以外の5人が飛び降りた。 魔天郎は自らにレビテーションをかけて着地。 ジェットはジョーとアルベルトの手を掴み、飛行能力の応用で無事に着地。 アニエスは勢いそのままに受身を取り、転がりながら着地、何事も無く起き上がった。 「どうなってんだよ?」 「聖人ジェット、私語をする暇はありません」 そう言ってジェットの疑問を斬り捨て、アニエスは唖然としているシスターの一人に近づく。 「シスター・ジョゼットはどこだ?」 睨みと凄みを効かせたアニエスの質問に、シスターは怯えながらも才人が、サーシャとリキが幽閉されている地下へと連れて行ったと答える。 「才人って、確かジローがロマリアであった今の時代のガンダールヴじゃねえか!」 「急がないと! 最悪の場合、ジョゼットごとサーシャとリキがロマリアに連れて行かれる!」 シスターたちを尻目に、ジョー達はジェットの案内で修道院内を走り抜けていく。 急いで地下にたどり着いたジョーたちは、自分たちの目を疑った。 サイバノイドで唯一、弱点とはいえないほどに装甲化されているリキの顔には口に当たる部分に真一文字に斬られた後がある。 サーシャに至っては胸部が大きく切り裂かれ、肌どころか改造された部位まで露出している。 一方、二人と対峙している内、ビルゲニアはこれといったダメージは受けておらず、才人は所々アザが出来ていたが、それでも大ダメージには至っていない。 ジョー達の到着に、明らかにサーシャたちとは違う声が響く。 「ジョー! ジェット! 来てくれたか!」 「デルフリンガー、いったい何が!?」 「ジョー、気をつけろ! 髪の黒い小僧の方は、お前と『同じ位の速さで走れる』ぞ!」 デルフリンガーの絶叫を聞いて思わず「え?」と聞き返すジョー。 その隙を突くかのように、才人の姿がいきなり消える。 それを見て瞬時にデルフリンガーの言葉の意味を悟ったジョーは、発動させた。 「加速装置!」 加速装置の発動と同時にサイトの姿を確認したジョー。 才人は、ジョー目掛け持っている剣を振り下ろす。 ジョーは紙一重でそれを避け切った。 「君もサイボーグなのか!?」 「さあ? 少なくとも召喚される前からアレが出来たけどな。俺はこの人の相手をする。ビルゲニアとデッドライオンは他の連中を頼む! あと、危ないからジョゼットはそこでジッとしてて」 ビルゲニアとデッドライオンに指示を飛ばし、ジョゼットに優しく言い聞かせてから、才人は改めてジョーと対峙する。 一方のジョーも、サーシャとリキの側に行き、庇うようにサイトと対峙した。 「サーシャ、リキ、まだ生きてる?」 「俺の方はまだピンピンしてるけどな」 「まだ生きてるわよ……! ジョー、こいつを」 それ見たサーシャは、デルフリンガーをジョーに手渡す。 「デルフリンガーを?」 「あの狂犬の剣、危険よ。デル公じゃないと受け切れないわ」 「……ありがとう」 デルフリンガーを受け取ったジョーは、それを両手で持って構える。 才人は両手で持っていた剣を左手一本に持ち替え、右手に大型の光線銃を持つ。 「思ってた以上にビルゲニアが頼りになり過ぎて、この剣以外の武器を使う機械が無かったからね。遠慮なく使わせてもらうよ、ジョーさん!」 数秒ほど対峙する二人。 そして、サイトとジョーは声を発するのと同時に、互いに加速装置を発動させる。 「加速!!」 「装置!!」 「うおおおおいっ! いきなりかよおおおお……」 二人同時に姿が消えてデルフリンガーの絶叫も途切れ、剣の鍔迫り合う音と、光線中の銃声だけが響く。 それと同時に、ジェットたちも動き出す。 「ハハハハハハ! 聖人ジェット、我らの光の国、ロマリアに御足労願いますよ」 「死んでも断る!」 ジェットは迷わずビルゲニア目掛けてスーパーガンの引き金を引く。 しかし、発射された光線をビルゲニアはビルテクターで防ぎきった。 「002! こいつらは俺とアニエスに任せて、お前と魔天郎はジョゼットを!」 「させるか!」 「その言葉、私が貴様に叩き返してやる!」 やっと口を開いたデッドライオンが、デッドハンドを振り下ろし、アニエスが剣でそれを受け止めた。 激しい衝撃が剣伝いにアニエスに響くが、それをものともせずにアニエスは応戦する。 一方、アルベルトはビルゲニアの剣技を左手のカッターで辛うじて防ぐ。 「その程度の得物では、私のビルセイバーは防ぐことは出来ないぞ」 「最初から、防ぎ切るつもりなんて無いさ!」 直後、アルベルトは膝からミサイルを発射。 間一髪、ビルゲニアはビルテクターで防ぐが、閃光と爆風が周囲を覆った。 「まさか始めから!?」 そして、ミサイルがビルテクターに当たる瞬間、ジェットと魔天郎は地下空間の隅でじっとしているジョゼットの方へと向かい始めていた。 閃光と爆風が飛び散る中も構わず、ジョゼットの目の前に立ち、爆風から彼女を守る。 「……聖人ジェット」 「待たせたな。外の世界に連れ出してやるからな。魔天郎、ジョゼットを連れて修道院の外へ!」 「任せておきたまえ」 魔天郎はジョゼットを抱きかかえ、時速50kmの高速でその場を走り去る。 それを見届けたジェットは、スーパーガンの照準をビルゲニアに向けた。 その頃、絶賛加速中のジョーと才人。 超音速の激しい剣劇は、カマイタチを起こし、それすらも易々と避けながら凄まじい鍔迫り合いを続けていた。 既に才人の方は、光線中をホルダーになおし、別の剣を右手に持っている。 余りの高速戦にデルフリンガーは悲鳴を上げた。 「ジョー! もうチョイ低速で走れええええええ!」 「既に最低速度だ! この程度で根を上げるな」 ジョーの反論に、デルフリンガーだけでなく才人も違和感を感じた。 最“低”速度? 才人がそう考えた瞬間、ジョーがさらに加速する。 (見えるのに、見えるのに、追い付けない!?) ブラックゴーストの幹部、バン・ボグートに内蔵されていたものと同レベルの加速装置。 それが才人が使用している加速装置である。 一方のジョーは、ブリミルと共にいた時代、負傷により止む得ずソロン号で修理を受けた際、実はブリミルとリキの助言を受けて加速装置を強化していたのだ。 理論上は、極短時間ならジェットの数倍の速度で飛べる(ギルモア博士によるとジョーも一応「飛べる」らしい)ほどの超音速走行が可能なのが、ジョーの加速装置である。 決着は、驚くほどあっさりと付いた。 「!? やっべ、服を……!!」 ジョーの手にあるデルフリンガーが、才人の服を切り裂く。 その瞬間、服は斬られた箇所から波状的に引き千切れ(胸と腹の部分は殆ど無くなった)、才人の加速は強制終了となった。 (服を切った瞬間、向こうの加速装置が機能を停止した?) その光景に呆気にとられたが、まだ戦闘中なのを思い出したジョーは、そのまま加速状態を維持したままビルゲニアの胸板を切り裂く。 「あだだだだ! どうなってんだ!? あの色白顔の体は?」 デルフリンガーはビルゲニアの体の余りの堅さに悲鳴を上げる。 一方のビルゲニアは、切られたダメージでやっと膝を付く。 「この剣聖を……!」 それを見ていたジェットは、一計を案じ、リキに呼びかけた。 「リキ、サーシャを連れてソロン号の中に入ってろ!」 ジェットの思惑を瞬時に理解したリキは、満身創痍のサーシャを抱きかかえ、座敷牢の向こうにあるソロン号へと避難。 ジョーも戦闘状態を解除し、アルベルトとアニエスに指示した。 「004、アニエスは急いで修道院の外へ! 僕と002はこのままソロン号でここから脱出するから!」 それを聞き、アルベルトとアニエスは黙ってその場から走り去る。 見届けたジョーは、ジェットと共にソロン号へ向かおうとしたが、デッドライオンが吼えた。 「待て! まだ俺がいるぞ!」 「……もう勝負は付いた。それに、僕は傷ついた仲間を助けようとしている君には攻撃できない!」 ジョーは気付いていた。 デッドライオンが、まるでビルゲニアを庇うように立っていることに。 更に、倒れていた才人を左腕で抱きかかえていた。 「これから、ソロン号ごとここから脱出する。今のうちに君たちも逃げた方がいい……」 ソロン号のある、破壊された座敷牢へと向かうジョー。 無防備な彼にデッドハンドを向けるデッドライオンであったが、撃てなかった。 「生きていればいくらでもリベンジの機会はありますよ。今はここから出ることを優先しましょう」 「そうだぜ……。エスコート、頼んだ……」 ビルゲニアと才人に励まされ、少し立ち直ったデッドライオンは才人を抱きかかえながらその場を後にし、ビルゲニアがそれを追った。 一方、地下から出たアルベルトとアニエスは、魔天郎の前に院長が立ち塞がっている所に出くわした。 「私は、シャルル王太子殿下の忘れ形見の片割れがどこにいるのかを聞いているのだが」 「お教えできません。それに、ジョゼットを返してください!」 堂々巡りを繰り返している会話に、アニエスはひょいと割って入った。 「何事です?」 「それが、ジョゼットを返せの一手張りなんだ。かと言ってこの子の目の前で殴るわけにもいかない」 魔天郎の説明に頭を抱えるアニエス。 と言うわけで、彼女は勘に頼ることにした。 (聖人ジェットは、この修道院は、わけありの子を隠すための所と言っていたから……) とりあえず、アニエスは、ジョゼットが身に着けている聖具を見て、これが怪しいと感じ、引き千切った。 「…………!!!」 院長の顔が引きつり、魔天郎も仮面に隠れた素顔の方が唖然となる。 そして、ジョゼットの髪が、瞳が、顔が変わりだす。 魔天郎の側にいたのは、タバサと同じ顔と、青い髪を持つ一人の少女であった。 「やっぱりな。魔天郎、ミスタ・ハインリヒ、急ぎましょう。ミスタ・ピュンマも待ちくたびれているはずです」 茫然自失となっている院長を尻目に、アニエス達はキョトンとしているジョゼットを連れて走り出す。 修道院の外に出るのに、それほど時間はかからなかった。 修道院の外では、相変わらずドルフィンII世号が周囲を低速低空で飛んでいた。 脳波通信で、アルベルトはドルフィンII世号を操縦するピュンマに呼びかける。 『008、作戦完了だ! そっちに戻る!』 『了解。ところで、009と002は?』 『ソロン号に乗るとさ』 ドルフィンII世号が更に高度を下げ、それに合わせて、ジョゼットをおんぶした魔天郎と、アルベルトの手を掴んだアニエスが走り出し、ジャンプする。 それと同時に二人は叫んだ。 「フライ!」 「エアークラフト!」 片や魔法で、片や魔法にあらざる力で空を飛び、ドルフィンII世号に飛び乗る。 それに合わせるかのように、岩盤を突き破って、地下からソロン号が飛び出す。 ドルフィンII世号とソロン号は、並び合って空の彼方へ去っていった。 ソロン号内部。 ジョー達は、思い出していた。 ブリミルと共にいた頃を。 バカな実験にサーシャを使っては制裁を受けるブリミル。 ケンカしてばかりだったジェットとサーシャ。 止めに入っていつの間にか二人とケンカしていたリキ。 それを見て本気で怒るジョー。 何もかもが懐かしく、ブリミルがいない今、それが無性に辛かった。 特に、ブリミルの死を看取ったサーシャとリキには尚更。 「サーシャ、リキ、ブリミルはもういない。でも、僕と002もいるし、新しい仲間たちもいる」 「思い出に浸るのもいいが、入り浸りは感心できねえぜ」 ジョーとジェットの言葉が、サーシャとリキの心にジンと染みる。 素直じゃないサーシャは、それを憎まれ口で返した。 「当たり前じゃない! 私もリキもそんな弱虫じゃないわよ!」 その言葉に安心し、笑い出すジョーとジェット。 顔を真っ赤にして怒るサーシャ。 安心して、あの世にいるブリミルに心の中で『みんな元気だ』と報告するリキとデルフリンガー。 ただ、ブリミルだけがいないが、ソロン号の中はあの頃と全く変わらない光景が広がっていた。 ドルフィンII世号では……。 前方に移るソロン号を見て、ピュンマはボソリと呟く。 「今頃、思い出話で盛り上がっているのかな?」 「盛り上がっているだろう。六千年ぶりの再会だからな。ところで、アニエス」 アルベルトはアニエスの方を見る。 アニエスの方は、何事も無かったかのように平静だった。 「……何か?」 「お前のその体、親から貰った分はどれ位残っている? 普通の人間じゃ、ブラックサタンの元最高幹部の一撃を受けきることも、エアークラフトで空を飛ぶことも不可能だ」 アルベルトの口調はどこかしら咎めるような感じがする。 望むべくしてサイボーグになる、それ自体アルベルトには許容し難いのか。 「結構残ってはいます。もっとも、それも錬金によって機械と化していますが」 「感心できないな。生身は脳味噌だけと言っているのと同じだぞ」 アルベルトの言葉は、サイボーグ・アニエスには届かない。 一方、魔天郎は、帽子とカツラと仮面をとり、シャルルに戻っていた。 「私と同じ……、青い髪!?」 「ジョゼット、もう少ししたら、ママとお姉ちゃんに会えるよ」 優しくもう一人の娘に語り掛けるシャルル。 「ママと、お姉ちゃん……!?」 「そして、僕がパパだよ」 光の塔は、子供たちの心に有らしめん。 果たして、ジョゼットの心に光の塔は建つか? それは始祖のみぞ知ること。 数時間後、ロマリアの大聖堂にある、エイジスの部屋。 才人たちと、セント・マルガリタ修道院に派遣されていた神官が、エイジスの前に立っていた。 「そうですか。シャルル殿下のご息女及び、聖人サーシャと聖人リキの御招致は、聖人ジョーと聖人ジェット及びその仲間たちのせいで失敗に終わりましたか」 「……聖人ジョーと聖人ジェットは、レコン・キスタがトリステインに侵攻した際にトリステイン側で戦っていたのを目撃されているから、多分今回の殴りこみはトリステインの王室が関わってると思う」 「でしょうね……。ですが、我々には手出しは出来ません」 才人の推測を肯定し、同時に自分たちにはどうすることも出来ないと言い切るエイジス。 デッドライオンとビルゲニアもこれには面食らう。 「こちら側が人質をとってあのお二人を不当に拘束していたのは紛れも無い事実。聖人ジョーと聖人ジェットに、『使い魔仲間』を助けるという大義名分を持たせてしまった以上、我々は何も言えません」 そして、エイジスは神官の方を見る。 本来なら決して見せないような、刺す様な悪意に満ちた目で。 「あなたが独断で、ミス・ジョゼットを人質にしたのが事の発端。さて、処分は……命をもって償わせてあげましょうか」 その言葉を合図に、才人は己の剣で神官を刺す。 「教皇、聖……!!」 更に、残りの剣を全てその神官に突き刺し、断末魔すら途中で遮った。 才人はあの時、ジョーに切り裂かれた服のまま大量の返り血を浴びる。 教皇はそれを見て、満足げにサイトを褒めた。 「流石です、才人。でも、その綺麗な柔肌をそこまで返り血で濡らすのもどうかと思いますよ」 赤い夕焼け~ 寄せる雪風~ 戦い終わって~ 明日を夢見る~ 何時の日か必ず~ みんなでタルブ行(ゆ)こう ああ~ 我ら~ サイボ~グ~ 正義の味方~ 星降る夜空に~ 揺れる双月(ふたつき)~ 戦い終わって~ 明日を夢見る~ 何時の日か必ず~ みんなで聖地見よう ああ~ 我ら~ サイボ~グ~ 平和の守護者~ 輝く朝日~ 萌えるルイズ~ 戦い終わって~ 明日を夢見る~ 何時の日か必ず~ みんなで地球帰ろう ああ~ 我ら~ サイボ~グ~ 九人の勇者~ 前ページ次ページ大使い魔17
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8098.html
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) ルイズが『始祖の祈祷書』を受け取った頃、エレオノールもまた、 竜籠で急ぎトリスタニアの研究室に戻っていた。それほどの期間を留守に したわけではないが、部屋に入ったとたんに落ち着いた気持ちになった のは、そこが自分の城であるためか。 エレオノールは、ブルドンネ街の骨董市で見つけたお気に入りの年代物の ゆったりとした椅子に深く腰を下ろし、その手に金属製の筒をもてあそぶ。 それはルイズとカトレアが食べたパイン缶だったが、その真ん中には 撃ち抜いたような同じ大きさの穴がいくつも開いていた。 「……まったく。こういうものを食べるときは、わたしも呼びなさいよね……」 エレオノールは渋面を隠さない。妹たちだけで滅多に手に入らない おいしいものを食べたということで、いささか寂しい思いをしていたの だった。 そうしているうちに、研究室のドアがノックされる。扉の向こう側から、 いささか覇気に欠ける声がする。 「……私だ」 彼女が急ぎ帰還した理由が、そこにいた―― 同時刻。高等法院の隠し部屋―― そもそも高等法院にそのような部屋があること自体が問題であるが、 元々あった部屋に仕切りを立てて隔離したその小部屋は、そうされてから 十年を越える歳月と、幾重にもかけられた『サイレンス』の魔法により、 外界から漏れない内密のことを行うにはうってつけの部屋となっていた。 そこに、高等法院長リッシュモンと……タルブに向かった銃士隊隊長 アニエスの留守を預かっている銃士隊副長ミシェルの姿があった。 リッシュモンはミシェルより渡された羊皮紙の束――報告書に目を通すと、 ミシェルに鋭い視線を向ける。 「……手を回すのが遅かったようだな」 「は、はい。先日の銃士変死事件以降、新型銃『サンパチ』の工廠と 訓練を行う射撃場には隊長の許可なくては立ち入れなくなりました。 また、第八小隊の行方も……」 声を震わせるミシェル。それをリッシュモンはつまらぬものでも 見るかのように吐き捨てる。 「ふん。前回の報告にあった姫殿下の秘密部隊か。私にも尻尾を 掴ませぬとは……忌々しい。 まあよい。そちらは私が処理する。貴様はこれまでどおり、情報収集に 努めよ。決して尻尾を掴ませぬようにな」 「は」 一礼して隠し部屋を辞すミシェル。その先は法院長室。国王以外で 許可なく立ち入ることはできず、またその部屋からは誰にも知られず 外に出る隠し通路が存在していた。 ミシェルの姿が消えてから、リッシュモンは人知れずつぶやいた。 「……ふん。誰に仕えているかすら知らぬ愚か者め。 実物が手に入るに越したことはなかったが、すでに手は打ってある。 ニューカッスルで皇太子の死体が手に入らなかったことは誤算だったがな……」 トリステイン王国に三十年にわたって奉職する王家の信頼厚き高等 法院長リッシュモン――その裏の顔は自らの職権を濫用して私利私欲に 走り、あまつさえ王家への忠誠を金貨に替えて祖国を釜ゆでの蛙のごとく 弱体化させたばかりか『レコン・キスタ』に内通する売国奴の首魁であった。 そして、夕暮れのトリステイン魔法学院。早馬で届けられた二通の 信書を開封したオスマンは、学院長室にルイズとふがくを呼び出していた。 「タルブの村へ、ですか?」 机の上に置かれた一通の信書。それを前にしてルイズが聞き返す。 「そうじゃ。タルブの村でミス・タバサが銃士隊に拘留されておるらしい。 誤解じゃろうが……銃士隊からの身分照会と、ちょうどフィールドワークに 出ておって合流したミスタ・コルベールから助命嘆願書が届いたのじゃ」 「それで、オールド・オスマンが記したタバサの身分証明書を私に届けて 欲しい。そういうことね」 そう言うふがくに、オスマンは微笑んだ。 「話が早くて助かるの。ミス・ふがく。 早馬を出すよりおぬしに頼んだ方が何倍も早いからの。ちいとやっかいな ことになっておるようじゃし、行ってくれんか?」 「別にかまわないわよ。私もタルブに用があったし。そういうことなら シエスタも連れて行った方がいいわね。 ……ということで、いいわね?ルイズ」 「もちろんよ!タバサはわたしの大切な友人よ。困ってるなら助けないと!」 意気込むルイズ。そんな二人に、オスマンは忠告する。 「時期的にぴりぴりしておるからの。二人とも、くれぐれも銃士隊を 刺激せんようにな。 無理なようなら帰ってくるんじゃ。ワシから姫殿下に話を通す」 「わかりました」 ルイズのその言葉で話は決まった。ルイズたちは食堂で夕食の準備を していたシエスタを連れ出し(もう学院のメイドではないので、その交渉は スムーズに運んだ)、タルブの村へと急行した。 「うわあ。やっぱり速いです!もうタルブの村が見えてきました!」 それから二時間後――ふがくに抱えられたままのシエスタが上空から 見る故郷に感激する。反対側にはルイズ。時間がないのでルイズは制服のまま 着替えだけを鞄に詰めてふがくに渡し、シエスタはさすがにエプロンドレスで 帰郷するわけにもいかず私服に着替えている。こちらは自宅に戻れば 着替えはあるとのことで、ちょっとしたお土産だけをふがくに預けていた。 「真上から見ると……やっぱり前線の航空基地って感じね。ちょっと 暗いけど滑走路に降りるわよ」 ふがくはタルブの村上空を旋回すると、村外れの『竜の道』――やや 荒れているがどこからどう見ても滑走路。しかも横に見張りの櫓や大小の 掩体壕まで見える――にアプローチする。ふがくが上空を旋回したことで 『竜の道』に松明を持った人間が出てきたことが確認できるが、どう見ても 誘導のためではない。ふがくは面倒なことになったと思いつつも、 『竜の道』にタイヤを鳴らしつつ着陸する。 まるでコンクリートに降り立ったかのような予想外に硬い路面に一瞬 面食らうが、それでも両脇の二人には衝撃を与えないようにうまく停止した。 ふがくが着陸したとたん、三人を松明を手にした銃士たちが取り囲む。 マスケット銃には弾が込められており、風に乗って火縄のにおいが緊張と ともに漂う。ふがくはわざと翼端灯を消さず、悠然と銃士たちを見た。 「動くな!」 銃士の一人が叫ぶ。多数の長銃を向けられて、ふがくの千早の袖を 掴んで怯えるシエスタとは対照的に、ルイズは怯えを悟られないように 一際大きな声を出す。 「わたしラ・ヴァリエール家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。トリステイン魔法学院の学院長オールド・ オスマンから、信書を預かってきたわ!隊長を呼んできなさい!」 その言葉に、銃士たちの囲みが割れ、他の銃士たちと違い鎖鎧に純白の サーコートをまとった銃士が現れる。銃士隊隊長アニエスである。 「わたしが銃士隊隊長のアニエス・シュヴァリエ・ド・ミランだ。 ラ・ヴァリエール家の者と名乗ったな?証拠はあるのか?」 そう言って、アニエスはふがくたちを見定めるかのように見る。 同時にアニエスの姿を見つけたシエスタは、助けを求めるように声を 上げた。 「アニエス姉さん!わたしです!シエスタです!」 「な、シエスタ?何故こんなところにいる?……全員、銃を下ろせ!」 アニエスの号令で銃士たちが一斉に銃を下ろす。自分を見下ろす アニエスに、ルイズが信書を突きつけた。 「これがオールド・オスマンから預かった、ミス・タバサの身分証明書よ! 彼女をすぐに解放しなさい!」 「……なるほどな。その髪の色といい目元といい公爵夫人によく似ている。 いいだろう。だが、内容を検分させてもらってから、だ。 それからあいつの翼端灯を消させろ。まぶしくてかなわん」 アニエスはそう言ってふがくの翼を親指で示す。その言葉に、ふがくが言う。 「こっちもいろいろ聞かせてもらいたいことがあるみたいね」 「ああ、同感だ」 アニエスはそう言って、三人を詰所に案内した。 「タバサ!」 程なくして。縄を解かれ杖を返却されたタバサを真っ先に出迎えたのは、 他の誰でもないキュルケ。その豊満な胸で力一杯抱擁する様を、ルイズは 気の毒なものを見るような目で見ていた。しばらくタバサを抱きしめた キュルケは、おもむろにルイズに向き直ると今度はルイズを抱きしめた。 「ありがとうルイズ!あなたたちのおかげよ!」 「は、離しなさいよ!苦し……」 「まぁ事情は詰所で大体聞いたけど、災難だったわね」 「…………ありがとう」 キュルケに圧殺されかかっているルイズを横目に、ふがくがタバサを ねぎらう。だが、ここにいる真の目的を話せないタバサは、そのことを 負い目に感じていた。 (どうして……知らないなら、そのまま利用すればいいだけなのに。 どうしてこんな気持ちになるの……) そんなタバサの思いを知らず、キュルケやルイズをはじめ、ここに 居合わせた魔法学院の人間は揃ってタバサの釈放を喜んでいた。 そこに、しわがれた老女の声がする。 「……やれやれ。しばらく静かになったと思ったら、また騒がしくなったか」 全員の視線が老女に集中する。腰の曲がった、齢八十に達しているで あろう老女。メイジの証である節くれ立った杖を手にした彼女は、全員に 注視されても動じることもなく騒がしい一団の中に見知った顔を見つけ、 声をかける。 「帰ってきたのかい?シエスタ」 「ただいま。ルリおばあちゃん」 シエスタがにっこりと微笑む。不思議に思っているルイズに、シエスタが 老メイジを紹介する。 「ルイズさま。こちらがミス・ルーリー・エンタープライズです。 ルリおばあちゃん、こちらがわたしがお仕えしているミス・ルイズ・ フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールさま。こちらが 前に手紙で知らせたふがくさんです」 それを聞いてルーリーが「ほぉ」と二人を見る。その視線に懐かしい 友人を見るような視線が含まれているとふがくが感じたのは、間違いでは ないだろう。 「……『鋼の乙女』を見るのは久しぶりだね。しかも航空機型のは もう何十年も見てない」 「じゃあやっぱり、あのガソリンは……?」 「口に合ったようでなによりだ。なんならもう少し分けてやろうか? みんな逝ってしまって使う者がいなくなったからね。 シエスタの知り合いなら金は取らんよ」 その言葉にふがくが深々と頭を下げる。ガソリンなど影も形もない この世界で、それを作り出すには大変な労力と時間を必要としただろう。 それに対する深い感謝が自然とそうさせていた。 「ところで、さっきアニエス姉さんから聞いたんですけど、皆様この村に 『竜の羽衣』を見に来られたとか」 詰所でルイズたちと一緒にタバサが勾留された理由を聞いたシエスタが キュルケたちに問いかける。それに対するキュルケの返事はあまり良い ものではなかった。 「……見せてはもらったんだけどね。あたしたちはふがくを知ってるから 『あーこれ飛ぶんだなー』って思えたけど、そうじゃなかったらただの 大きな鳥の形したおもちゃにしか見えなかったでしょうね。 ミスタ・コルベールとギーシュは違ったところを見てたけど」 「そうですね。私は『竜の道』と『イェンタイ』を構築している建材に 驚きました。何でできていたと思います?ミス・ヴァリエール」 そう言ってコルベールはルイズに質問する。だが、着陸するやいなや 銃士隊に囲まれたルイズには分かるはずもない。コルベールは学院で 生徒に授業をするかのようにルイズに答えを教える。 「『ベトン』ですよ。かつての大王ジュリオ・チェザーレ時代のロマリアで 多用された建材です。火竜山で取れる火山土と砂、砕いた軽石を水で 混ぜ合わせて作る長い風雪にも耐える強固な建材ですが、『錬金』と 『固定化』が多用されるようになった現在ではその製法すら失われたものです。 私も遺跡以外で実物を見たのは初めてですよ。しかもその製法まで 残っているとは……」 コルベールは感動にむせぶ。それにしても大王ジュリオ・チェザーレの 時代といえば何千年も前の話。ロマリアに旅行したことのないルイズには、 そう言われても今ひとつピンと来なかった。一方で、ふがくはその説明に 納得するように言う。 「なるほどね。コンクリートの上に降りたんじゃ、あの感触も納得だわ」 「こんくりーと?そういえば今回の降り方はいつもと違ってたわね」 「私の国でベトンのことをそう呼ぶのよ。それに、あれが本来の私の 着陸の仕方よ」 ふがくはそうルイズに答える。その様子を見て、シエスタは溜息ひとつ ついた後、ルーリーに尋ねた。 「やっぱり……。ねえルリおばあちゃん、ルイズさまをはじめ、皆様 信用できる方ばかりなんです。だから、見せてあげてもいいかな?」 シエスタの言葉に、ルーリーはしばし目を閉じて……それから刺すような 視線で全員を見た。 「……本当に信用できるのかい?」 「はい。皆様とても良い方ばかりです」 しばしの沈黙。それからルーリーはシエスタに背中を向け、一言。 「……好きにしな」 それだけ言うと行ってしまった。その背中にシエスタは深々とお辞儀をする。 それから、ルイズたちに向き直ると、言った。 「それでは、明日、改めて『竜の羽衣』をご案内致します」 その言葉に眼鏡の奥の瞳をきらりと光らせた者がいたが、シエスタは 気づかなかった。 その頃――アルビオン大陸のとある村…… 「タルブへ……?」 夜の帳が降りて静まりかえった森の中。そこにひっそりとたたずむ 小さな村の一軒の家で、流れるような金髪に透き通るような白い肌、 まるで妖精のような少女が言う。その言葉を、粗末な木製のテーブルを 挟んで座る、まだ少年の気配が残る青年が静かに受ける。 「ええ。アルビオン王党派を葬った『レコン・キスタ』への報復に、 ゲルマニアとの同盟を果たしたトリステインが動くという噂が広まって います。マチルダさんから聞いていると思いますが……」 「確かに、マチルダ姉さんからは、ここが危なくなったらトリステインの タルブの村にいるミス・エンタープライズを頼るようにって……。 本当に危ないんですか?スピノザさん?」 少女の言葉に、スピノザと呼ばれた青年は無言で頷いた。 「……確かに、マチルダ姉さんやスピノザさんたち、お父様のために 戦ってくれた貴族が助けてくれるから、わたしはこうしてここにいられる。 でも、わたしがここを離れても大丈夫なのかしら。わたしの魔法で今まで ここを忘れてもらって過ごしてきたのに」 少女はそう言って自分の耳に手を触れる。つんと尖った耳。それは 彼女がエルフの血を引いていることの証。その耳が彼女の心境を表すように わずかに垂れ下がる。 「大丈夫ですよ。私たちがいます。マチルダさんも、あなたに何かあったらと 思うと気が気でないでしょう。ニューカッスルのことは先程お話ししたと 思いますが、ここがあのような大規模な破壊に巻き込まれたら、マチルダさんは どう思うでしょうね。心配はさせない方がいいと思いますよ」 そう言ってスピノザは少女の不安を消そうとする。その微笑みは、 あの大乱のさなかに彼の父親が少女に向けたものによく似ていた。 スピノザ――スピノザ・サンダーヘッドは、モード大公の叛乱の際、 大公の直臣であるサウスゴータ家、エンタープライズ家と杖を並べて 戦った、雷の使い手サンダーヘッド家の生き残りである。大公が投獄 されたときに叛乱に荷担したとして他の二家と同様にサンダーヘッド家は 取り潰されたが、嫡男のスピノザは王家の追撃を逃れていた。 そんな彼がマチルダの前に姿を現したのが二年前。今は名を変えて 商人になったと話しているが、詳しいことはほとんど話さず、追求する マチルダには「あなたにも言えないことがあると思いますが」と釘を刺して しまっていた。 そんな状況ではあったものの、彼はこの少女の前では偽名を使わず、 マチルダと同様かそれ以上の援助を彼女に行い、またマチルダからの 送金も彼の商会を通すことで余計な『手数料』を抜かれることなく彼女の 元に届けられていたのだった。 「私はこれで失礼しますが、三日後、私の別のフネがロサイスに到着します。 数日留まりますから、子供たちと一緒にそれに乗れるよう手配しておきましょう。 そうですね。この宿屋に泊まって待っていて下さい。ハーマンという女性を 使いに出しますから」 そう言って、スピノザは懐からメモとして使っている羊皮紙のカードを 取り出すと、それにさらさらと書いて少女に手渡した。 「大丈夫ですよ。ティファニアさん。何も心配することはありませんから」 なおも心配そうな顔をする少女に、スピノザはそう言って笑って見せた。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8252.html
『SEED戦記』支援。スコールが実にスコールらしくて大好きな作品。あとアニエスさんマジカッコかわいい。 -- SIEN (2010-12-16 10 20 53) しびれるかっこよさだぜ二人とも! -- 名無しさん (2010-12-16 18 36 53) 『SEED戦記』初の支援絵キター!このコンビはハルケギニア最強ですな! -- 名無しさん (2010-12-17 23 19 08) おお!格好良い! -- 名無しさん (2010-12-18 03 02 36) うおおおおおおお!右の新着情報を「もしかしたら……」とかちょっとドキドキしながら開けたらマジできたぁぁぁぁぁ!擬似魔法「オーラ」かけてもらった気分!いつでも「オーラ」をドロー出来るように保存させてもらいます。ありがとうございました! -- SeeDの書き手 (2010-12-18 17 53 42) これが来るのをどれだけ待ち望んだことか。 -- 名無しさん (2010-12-21 23 36 35) これ見てる間は頭の中で DONT BE AFRAIDが流れる。つまり、スコールとアニエスがCOOLなんだよぉ!! -- 名無しさん (2010-12-22 16 38 10) クールだ! -- 名無しさん (2011-01-03 17 34 09) 口がカットされてるのはFF仕様w -- 名無しさん (2011-01-05 16 25 10) 久々に来てみたら更新されてた、『SEED戦記』中断されなくて本当によかった!作者さんも絵師さんもありがとう! -- 名無しさん (2011-02-06 01 11 07) 睨むだけでザコは殺せそうな威圧感だ -- 名無しさん (2011-03-19 17 10 47) 最後まで貫ききったところが好きな作品でした -- 名無しさん (2012-07-31 01 09 32) また読み直した。素敵な作品をありがとう -- 名無しさん (2013-06-14 02 20 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/projectdiva_ac/pages/1406.html
モジュール 初音ミク みずたまビキニ キャラクター 初音ミク 価格 1000VP 初出 「初音ミク -Project DIVA- f」から みずたま模様入りのビキニ。 「DIVA f」での名称は「初音ミク SW みずたまビキニ」だった。 コメント カルテ、ココア、キップル等の元気なダンス系は良く似合っていて可愛いと思います。 -- (名無しさん) 2013-07-05 13 12 45 なんでスイムウェアは高値なのでしょうか?「そう簡単にはスイムウェアは買えねーよバーカwもっと努力してから買えwVP3桁のプレイヤーはまだ1年早い!」って感じ?(うわ口悪!!!)そういう私もVP3桁ですが(;ω;) -- (秋奈多二梅雨) 2015-04-10 15 50 34 スイムウェアの中で一番使いやすいと思う。 -- (名無しさん) 2015-08-03 20 20 40 名前 コメント すべてのコメントを見る